慢性呼吸器感染症に対するCefuzonam (CZON) とCefmenoxime (CMX) の薬効比較試験

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タイトル別名
  • Comparative Study of Cefuzonam (CZON) with Cefmenoxime in Chronic Respiratory Tract Infections by Double Blind Method
  • マンセイ コキュウキ カンセンショウ ニ タイスル Cefuzonam CZO

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抄録

CZONの慢性呼吸器感染症に対する臨床効果と安全性を客観的に評価する目的で, Cefmenoxime (CMX) を対照薬とし, 両薬剤とも1回1g, 1日2回, 原則として14日間点滴静注による二重盲検法に準拠した比較試験を行い, 以下の結果を得た.<BR>1. 全投与症例は, 167例 (CZON群88例, CMX群79例) であるが, 小委員会による臨床効果判定対象例は147例 (CZON群77例, CMX群70例) であり, 20例 (CZON群11例, CMX群9例) が臨床効果の判定より除外された.<BR>2. 小委員会判定による臨床効果はCZON群81.8%(77例中63例), CMX群80.0%(70例中56例) の有効率であり, 両薬剤群間に有意の差は認められなかった. また, 主治医による効果判定でも有意の差は認められなかった.<BR>3. 起炎菌別臨床効果は, CZON群85.2%, CMX群78.6%の有効率であり, グラム陽性菌単独感染例では, CZON群100%, CMX群75.0%でともにCZON群が高い有効率を示したが, 両薬剤群間に有意の差は認められなかった. 菌消失率でも臨床効果と同様に, CZON群が高い菌消失率を示したが, 有意の差は認められなかった.<BR>4. 副作用発現率は両薬剤群間に有意の差は認められなかった. また, 臨床検査値異常の発現率では, CZON群がCMX群より低率であったが, 両薬剤群間に有意の差は認められなかった.<BR>5. 有用性の小委員会判定では, CZON群77.9%(77例中60例), CMX群77.1%(70例中54例), 主治医判定では, CZON群71.1%(76例中54例), CMX群82.6%(69例中57例) に認められており, いずれの判定においても両薬剤群間に有意の差は認められなかった.<BR>以上より, CZONは慢性呼吸器感染症に対して有用な薬剤であることが示された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 60 (8), 865-884, 1986

    一般社団法人 日本感染症学会

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