臨床検査におけるバイオハザード

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タイトル別名
  • Biohazard in Clinical Laboratories in Japan
  • 臨床検査におけるバイオハザード--本邦における統計的考察
  • リンショウ ケンサ ニ オケル バイオハザード ホンポウ ニ オケル トウケイ
  • 本邦における統計的考察

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抄録

臨床検査に伴う業務上感染の実態を明らかにする目的で全国調査を行い, 306病院 (300床以上) から回答を得た. 対象期間は, 1979-88年の10年間, 対象人員は医師698名, 検査技師・助手8,654名計9,352名であった.<BR>業務上感染の可能性のある感染症発生は計177例であり年間発生率は0.2%であった. 疾患別には結核77例, B型肝炎59例, 非A非B型肝炎24例, 風疹6例, A型肝炎5例, マイコプラズマ肺炎2例, カンピロバクター腸炎・パラチフスA・サルモネラ症・水痘各1例であった. なお死亡例は存在せず, 年度別にはB型肝炎はワクチンの普及と共に急減したが, 結核感染例は減少していない.<BR>所属別には結核は病理検査室40例, 細菌検査室25例に多かったが, 生化学検査室3例, 血液検査室1例であった. B型肝炎は生化学検査室33例, 血液検査室11例, 病理検査室7例に比し細菌検査室は1例のみであった. 非A非B型肝炎も生化学・血液検査室が各7例に対し細菌検査室は0であり血液を取扱う部門に多かった. 推定感染要因は結核は剖検, ミキサーエアロゾル, 操作時の飛沫が主なものであった. B型肝炎は血清分離手指の傷への血液付着, 注射針・メスによる創傷が主なものであり, また非A非B型肝炎もこれと同様であった. なお感染機会の明らかな例は20%に過ぎず, 不明例が80%に達した. このような実状に即した感染防止対策が今後必要と考えられる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 65 (2), 209-215, 1991

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (5)*注記

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