腟トリコモーナス症に関する臨床的研究

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical studies on trichomonas vaginitis
  • チツトリコモーナスショウ ニ カンスル リンショウテキ ケンキュウ

この論文をさがす

抄録

膣トリコモーナスについては, 1836年DANNE1)の発見, 記載以来, 数多くの基礎的臨床的研究がなされ, 報告がみられる。ことに, 近年の抗生物質の発見進歩は, 膣トリコモーナスの純培養を容易にし, 位相差顕微鏡, 電子顕微鏡, 生化学的検査法等の技術的進歩は, 本原虫の基礎的研究を著るしく進歩させた。しかし, まだ解明されない面も多く残されており, 各方面で研究が続けられている現状である。<BR>一方, 臨床面では, 膣トリコモーナス症は頻度の高い疾患であり, 近時, 増加の傾向にあるとされており, また, 従来からきわめて再発し易い難治な疾患とされていたが, 近年, 新らしい抗トリコモーナス薬剤が相ついで開発され, 治療が容易となり, これらに関する臨床的研究報告も数多くみられるようになつた。しかし, これら抗トリコモーナス薬剤の臨床研究に当つては, 従来から一定の基準がなく, 各研究者はそれぞれ独自の基準で研究しているので, 比較検討するのが困難であつた。そこで, 本問題を解決するため, 日本産婦人科学会内の臨床膣トリコモーナス研究同好者が参集して協議の結果, トリコモーナス治療薬剤判定基準を作成した2)。<BR>当教室においても, 積極的に本研究会に参加して協議し, 基準の協議作成に当つた。また, 昭和38年度来, 前述のような, 未解決の膣トリコモーナスの諸問題を共同研究する目的で, 文部省科学研究, 膣トリコモーナス研究班が結成され, 当教室も, 藤井教授が班員としてこれに参加し, 分担研究をおこなつている。<BR>著者は, 膣トリコモーナス研究の一部として, 最近の新らしい抗トリコモーナス薬剤の臨床効果を, 膣トリコモーナス研究同好会の基準にしたがつて比較検討するとともに, 最近の知見をもとにして, 膣トリコモーナス症の臨床像を再検討し, また最近, 問題となつている膣トリコモーナスの病院内感染の問題についても検討を加え, いささかの知見を得たので, ここに報告する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ