小児の皮膚軟部組織感染症に対するCefprozil細粒の臨床的検討

書誌事項

タイトル別名
  • CLINICAL STUDIES ON CEFPROZIL GLANULES IN PEDIATRIC SKIN SOFT TISSUES INFECTIONS

この論文をさがす

抄録

新しく開発されたCephem系抗生物質 (CEPs) のCefprozil (CFPZ) の細粒を小児の皮膚軟部組織感染症に投与し, これらの症例から分離したStaphylococcus aureus53株の接種菌量106CFU/mlに対して本剤と対照薬としてCEPsのCephalexin (CEX), Cefaclor (CCL) の2剤, Penicillin系抗生物質 (PCs) ではAmpicillin (ABPC), Methicillin (DMPPC), Cloxacillin (MCIPC) の3剤, 計6薬剤の薬剤感受性試験を実施した。臨床投与例は6カ月から10歳8カ月の73例であったが, 臨床効果の判定できた症例は膿痂疹65例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群1例, 節1例, 皮下膿瘍と肛門周囲膿瘍各々3例, 1例, 計71例で, これらの症例に対する1回平均投与量は8.4mg/kg, 1日3回か4回 (3回は57例, 4回は14例) で, 平均6日間投与し, 臨床効果, 細菌学的効果及び副作用と臨床検査値への影響について検討したところ, 次のような結果を得た。<BR>1. S. aureus53株に対する薬剤感受性試験ではCEPsのCFPZのMICは0.78~3.13μg/ml域が52株98.1%を占め, MIC0.78μg/mlの株が最も多く45株84.9%で, MIC90は1.56μg/mlを示し, Methicillin-resistantS. aureus (MRSA) 1株に対するMICは100μg/mlであつた。CEXとCCLのMIC90はいずれも6.25μg/mlで, MRSA1株に対してのMICは各々200, 100μg/mlであった。PCsのABPC, DMPPC, MCIPCのMIC90はそれぞれ6.25, 3.13, 0.39μg/mlで, CFPZはMCIPCに次ぐ抗菌力を示した。<BR>2. 71症例に対する主治医判定での臨床効果は全例有効以上で, 非常に優れた成績が得られた。<BR>3. 症例数の多い膿痂疹についてScoreにより判定したところ, 投与開始3, 5, 7日後に各々52, 39, 20例で判定が可能であつた。その際の有効率はそれぞれ90.4, 100, 100%であった。各判定日について1日投与量別に臨床効果をみると投与開始3日後では22.5~30.0mg/kgと30.1~45.0mg/kgの2群間の比較で有効率は後者が17.2%高く, 著効率でも45.3%と高率であり, 1日投与量は22.5~30.0mg/kgでもよいが30.1~45.0mg/kgを分3か分4で5日間投与すればより優れた臨床効果が得られると思われた。<BR>4. 細菌学的効果はS. aureus60株で判定でき, すべて消失し, 1日投与量別による違いはなかつた。<BR>5, 副作用の出現例はなく, 服薬を嫌う症例もなかった。臨床検査値への影響では検査された症例は少なかったが, 異常値を示したものはなかった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ