書誌事項
- タイトル別名
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- CLINICAL EFFICACY OF ARBEKACIN IN PATIENTS WITH METHICILLIN-RESISTANT STAPHYLOCOCCUS
抄録
MRSA感染症に対するArbekacin (ABK) の臨床効果と, 各種臨床材料より得られたMRSA について, コアグラーゼ型別, β-ラクタマーゼ産生性, 薬剤感受性などを検討した。1992年4月より1993年9月の間に, 入院したMRSA感染症23症例は, 肺炎13例, 敗血症1例, 敗血症+肺炎1例, その他8例であった。男14例, 女9例で, 年齢は18~91歳で, 平均66.9歳であった。いずれの症例も, 悪性腫瘍, 脳血管障害などの基礎疾患を有していた。ABKは, 1日75~100mg×2回投与で行った。臨床効果は, 著効8例, 有効10例, やや有効1例, 無効1例, 判定不能3 例で, 有効率は90%であった。細菌学的効果はMRSA消失16例, 減少3例, 菌交代2例, 不変1例, 不明1例で, 菌消失率は81.8%であった。副作用はなかったが, S-GPT上昇が1例あった。各施設よりのMRSA123株のコアグラーゼ型別は, II型56株, IV型12株, VII型13株, 不能40株, その他2株であった。β-ラクタマーゼ産生株は84株 (68.3%) であった。ABKの MICは0.5μg/ml43株, 1μg/ml37株で, すべて4μg/ml以下に分布した。ABKはMRSAに良い抗菌力を示し, 臨床的にも有効な成績を得た。
収録刊行物
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- The Japanese Journal of Antibiotics
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The Japanese Journal of Antibiotics 47 (6), 720-730, 1994
公益財団法人 日本感染症医薬品協会