胸膜炎患者におけるMeropenemの胸水移行に関する薬物動態学的検討

書誌事項

タイトル別名
  • PHARMACOKINETIC STUDY OF PENETRATION OFMEROPENEM INTO PLEURAL EFFUSION IN PATIENTS WITH PLEURISY

この論文をさがす

抄録

胸膜炎のうち細菌性胸膜炎はもちろん, 他の胸膜炎においても二次的な感染併発を認めることがあり, 適切な抗菌薬投与が必要とされる。抗菌薬を全身投与した後の胸水中への良好な移行を確保することは感染治療において重要である。今回, 胸膜炎に起因する胸水貯留を認めて胸腔ドレーンを留置し, 肺炎や気道感染等の理由でカルバペネム系抗菌薬のmeropenem (MEPM) が静脈内点滴投与された患者を対象として, MEPM投与後の血中ならびに胸水中薬物動態を検討した。対象患者6症例のMEPM0.5g静脈内点滴投与におけるMEPMの血中薬物動態パラメータは, AUC (血中濃度-時間曲線下面積) 37.9±6.2 (hr・μg/mL), Vd (分布容積) 27.3±4.4 (L), CLtotal (全身クリアランス) 13.4±1.8 (L/hr), t1/2 (消失半減期) 0.50±0.08 (hr-1), kel (消失速度定数) 1.42±0.22 (hr) であった。また, MEPMの胸水中薬物動態パラメータは, AUC35.7±7.1 (hr μg/mL), MRT (平均滞留時間) 5.00±3.25 (hr), VRT (体内滞留時間の分散) 29.9±44.6 (hr2), kel0.34±0.27 (hr-1), t1/23.14±2.36 (hr) であった。患者個々の胸水中および血中濃度比から算出した移行率46.5±26.1%となり, 他の抗菌薬の文献値と同等以上の良好な移行性を示した。以上, MEPMは胸水貯留患者の胸水中に速やかに移行することが初めて明らかになるとともに, 血中よりも胸水中に長時間滞留し得ることから, 胸膜炎で胸水貯留を認める患者の抗菌療法におけるMEPMの有用性が示唆された。

収録刊行物

参考文献 (18)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ