小児・新生児におけるMRSA敗血症に対するTeicoplaninの薬物動態及び臨床的検討

書誌事項

タイトル別名
  • PHARMACOKINETIC AND CLINICAL STUDIES ON TEICOPLANIN FOR SEPSIS BY METHICILLIN-CEPHEM RESISTANT <I>Staphylococcus aureus</I> IN THE PEDIATRIC AND NE ONATE FIELD

この論文をさがす

抄録

Teicoplanin (TEIC) の小児及び新生児におけるMRSA感染症 (敗血症及び敗血症疑い) に対する薬物動態, 有効性及び安全性の評価を既に小児での使用が承認されている海外での用法・用量を用いて検討した。小児に対する1回の投与量は10mg/kgとし, 初回点滴静注後12時間毎に2回目, 3回目を投与し, 3回目以降は24時間毎に点滴静注した。新生児は初回のみ16mg/kgを用い, それ以降24時間毎に8mg/kgを点滴静注した。<BR>1. 薬物動態試験成績<BR>TEICが投与された総投与症例17例 (新生児: 9例, 小児: 8例) 全てにおいて薬物動態の検討が行われ, トラフ値については7日後が未測定であった1例を除く16例 (新生児: 9例, 小児: 7例) を対象として評価した。新生児, 小児のいずれにおいてもピーク値, トラフ値が60μg/mLを超える症例はなかった。トラフ値の平均値は, 新生児で3日目15.2μg/mL, 4日目14.7μg/mL及び7日目17.8μg/mLであり, 小児では3日目12.5μg/mL, 4日目122μg/mL及び7日目13.1μg/mLであった。これらのトラフ値は, 海外の小児・新生児で報告されている値と同程度であった。<BR>2. 有効性及び安全性試験成績<BR>総投与症例17例 (新生児: 9例, 小児: 8例) のうち除外症例はなく, 全17例を有効性及び安全性の解析対象集団とした。副次的に評価した細菌学的効果及び治癒判定の解析対象例は, MRSAが血液から分離された2症例とした。<BR>臨床効果の有効率 (有効以上) は76.5% (13/17) であり, 著効12例, 有効1例, やや有効3例, 無効1例であった。投与前にMRSAが血液から分離された2例はいずれも菌消失例であり, 追加の抗MRSA薬を必要とせずに治癒した。<BR>有害事象は新生児2例, 小児3例で報告され, 因果関係の否定できない有害事象 (副作用) は小児3例に報告された呼吸障害, 血小板数増加, γ-GTP上昇, GOT上昇, GPT上昇の各1件であった。<BR>これらの試験成績は, 本邦においてもTEICの海外の小児・新生児での用法・用量を用いることは適正であることを支持するものであった。

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (28)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ