不動であった声帯の可動性が披裂軟骨内転術後に回復した2例

DOI
  • 讃岐 徹治
    Department of Otolaryngology Head and Neck Surgery, Kumamoto University School of Medicine
  • 湯本 英二
    Department of Otolaryngology Head and Neck Surgery, Kumamoto University School of Medicine

書誌事項

タイトル別名
  • Case reports of vocal fold mobility restoration after arytenoid adduction with unilateral vocal fold immobility

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抄録

片側声帯麻痺は気息性嗄声や嚥下障害を来す。これらの症状を改善させる外科的治療として、甲状軟骨形成術I型や披裂軟骨内転術、外側輪状披裂筋牽引術、声帯内注入術などが行われている。披裂軟骨内転術は、披裂軟骨の筋突起を糸で牽引・固定することにより声帯を生理的に近い状態で正中に内転、固定できる優れた術式である。われわれは片側声帯固定症例に対して披裂軟骨内転術を行った中で術後数カ月経過して患側声帯の可動性が回復した症例を2例経験した。声帯固定の回復が期待できる症例の手術適応時期としては、発症後6カ月以降であるが、今回7カ月目と10カ月目で声帯可動性の回復を来した症例を経験した。声帯固定の原因がリウマチによる輪状披裂関節の固着などの神経障害でない場合、あるいは特発性麻痺と考えられる場合に披裂軟骨内転術を施行する際は、反回神経内転筋枝を可能な限り確認保存し、輪状披裂関節、後筋をなるべく傷つけないようにすべきと考えられた。

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