症例 右冠動脈攣縮後に血圧低下とともにI誘導でもST上昇がみられた異型狭心症の1例

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • A case of variant angina with hypotension after right coronary artery spasm accompanied by ST-segment elevation in lead I during attack

抄録

症例は53歳,男,夜間安静時または早朝ランニング時の胸痛発作を主訴とする.入院後,胸痛発作は起こらなくなっていたが,冠動脈造影時のエルゴノビン試験で,右冠動脈近位部の冠攣縮が証明され,発作時,II,III,aVFに加え,I誘導でもSTが上昇し,Mobitz II型の房室ブロックとなった.V2,aVR,aVLではST低下を認めた.このとき,左室圧は55/end25と低下し,ノルエピネフリンの少量動注により回復した.前日のエルゴノビン誘発発作時には,II,III,aVFでSTが上昇したが,IではST低下を認め,血圧の低下も少なかった.右冠動脈攣縮異型狭心症でI誘導でもST上昇の見られる例は報告されておらず,まれな症例である.右冠動脈攣縮による血流途絶に加え,左回旋枝末梢部の冠攣縮あるいは血圧の低下などにより,心尖部に近い下側壁部にも貫壁性虚血が拡大し,I誘導にST上昇をきたした可能性が考えられる.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 15 (8), 928-932, 1983

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680465556480
  • NII論文ID
    130004411218
  • DOI
    10.11281/shinzo1969.15.8_928
  • ISSN
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ