症例 Incessant型房室回帰性頻拍の1例

• 桜田 春水

  東京都立広尾病院循環器科

• 住友 直方

  東京都立広尾病院循環器科

• 難波 研一

  東京都立広尾病院循環器科

• 家城 恵子

  東京都立広尾病院循環器科

• 江尻 成昭

  東京都立広尾病院循環器科

• 徳安 良紀

  東京都立広尾病院循環器科

• 渡辺 浩二

  東京都立広尾病院循環器科

• 本宮 武司

  東京都立広尾病院循環器科

• 平岡 昌和

  東京医科歯科大学難治疾患研究所循環器病部門

書誌事項

タイトル別名

• A case of incessant atrioventricular reciprocating tachycardia

抄録

症例は74歳の女性で,頻拍の精査目的で入院した.毎分140の頻拍で,心電図上,II・III・aV_F・V₃～V₆で陰性P波を呈しており,PR時間とRP時間の関係は,PR<RPであった.頸動脈洞圧迫やベラパミル静注により, 一たん, 頻拍の停止を見たが,数拍の洞収縮後,PR時間の延長なしに頻拍が再出現し持続しており,いわゆるincessant型の上室性頻拍であった.<BR>本例に,電気生理学的検査を施行した.頻拍中の心房内興奮順序は,冠静脈洞入口部が最も早期であった.頻拍中の順伝導路は,房室結節・ヒス束を利用していた.逆伝導A波を伴わない右室早期刺激にて頻拍は停止したが,洞収縮から再度頻拍が出現していた.また,頻拍中のヒス束の不応期に加えた右室早期刺激にて,心房補捉が認められた.<BR>以上より,順行性には房室結節・ヒス束を逆行性には副伝導路を利用する房室回帰性頻拍(atrioventricular reciprocating tachycardia)と診断した.逆伝導路には,著明な伝導遅延と,房室結節類似の減衰伝導の性質が認められた.<BR>この様なincessant型の房室回帰性頻拍例は,著者らの知る限りでは本邦初例と思われるので,その発生機序の考察を加えて報告した.

収録刊行物

• 心臓

  心臓 18 (8), 975-981, 1986

  Japan Heart Foundation

キーワード

• incessant tachycardia
• atrioventricular reciprocating tachycardia
• decremental conduction
• slow conduction

詳細情報

• CRID: 1390001205487542144
• NII論文ID: 130004411664
• DOI: 10.11281/shinzo1969.18.8_975
• ISSN: 05864488
• Web Site: https://search.jamas.or.jp/link/ui/1987059412
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可