臨床 開心術後多臓器不全の病態と術中・術後管理

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タイトル別名
  • Multiple organ failure following open heart surgery
  • 腎・肝不全と術前諸データとの関連を中心に

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抄録

後天性心疾患開心術例576例を対象とし,特に術後MOFを発生した23例の病態一とりわけ術前の腎・肝機能との関連一および腎・肝不全,DICに対する治療法につき検討を加えた.我々の用いた術前の腎・肝スコアーから術後の不全発生を約1/3の例について予知することが可能であった.予防はスコアー上の機能低下例における術前および体外循環中の臓器保護を目的とした管理が重要と考えられた.不全発生後の治療は,腎不全では早期の血液透析,DICには新鮮成分輸血とヘパリン,合成タンパク分解酵素阻害剤が効果的であったが,肝不全の成績は不良であった.全体としての治療成績は生存8例(34,8%)と満足すべきものではなかったが,年次別には向上がみられた.MOF発生後の予後は腎不全,肝不全の進展に左右されており,これらに対する予防および早期治療が開心術成績の向上につながると考えられた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 19 (11), 1300-1308, 1987

    Japan Heart Foundation

被引用文献 (1)*注記

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