総説 先天性冠動脈瘻

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書誌事項

タイトル別名
  • Congenital coronary artery fistula
  • collective review of cases reported for recent five years in Japan
  • 最近5年間の本邦報告例の集計と検討

抄録

先天性冠動脈瘻はまれな先天性冠動脈疾患の1つとされてきたが,選択的冠動脈造影法の普及に伴って,近年成人症例の報告が増えている.我々は,最近の本邦の症例を集計・検討していくつかの知見を得たので報告する.<BR>65%が成人で,性差は認めなかった.流出冠動脈は,左が38%,両側が32%,右が30%,単冠動脈が1%で両側冠動脈瘻が増加している.流入腔は肺動脈が50%,右室が17%,左室が16%,右房が11%,左房が1%で,肺動脈や左室が増えている.自覚症状は56%にみられたが,年齢とともに頻度が高くなる傾向があった.胸痛が34%と最も多く,心不全は5%,心内膜炎は2%と少なかった.連続性雑音は43%に聴取されたにすぎず,27%が無雑音であった.冠動脈瘤の合併は多く,15%にみられた.他の先天性心疾患や弁膜症はいずれも8%に合併していたが,冠動脈瘻との因果関係はないと考えられた.<BR>手術は49%に行われた.13%に再発・遺残短絡あるいは冠動脈本幹の血栓閉塞などの術後合併症がみられたが,手術死亡や晩期死亡は認められなかった.手術適応については従来の報告に加え,運動負荷試験陽性例や心房細動を伴う症例でも積極的に手術を行うべきであると考える.手術法は,人工心肺を使用して瘻孔を直視下で閉鎖できる心腔内閉鎖法やSymbas法が最も確実であると思われた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 27 (1), 3-11, 1995

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680464512384
  • NII論文ID
    130004413360
  • DOI
    10.11281/shinzo1969.27.1_3
  • ISSN
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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