症例 非弁膜症性心房細動に合併した冠動脈塞栓症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Coronary embolism associated with nonvalvular atrial fibrillation

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抄録

症例は71歳,男性で,主訴は胸痛.1999年9月30日脳塞栓症で入院となった.入院中の10月12日前胸部痛が出現した.心電図上完全房室ブロックで,II,III,aVFでST上昇を認め,経胸壁心エコー図で左室の下後壁はakinesisだった.<BR>急性下壁梗塞と診断し,緊急冠動脈造影を施行した.左冠動脈は正常で,右冠動脈は#4AV,#4PD分岐部に血栓を認めた.引き続き冠動脈形成術を施行し,再開通に成功した.発作性心房細動を繰り返すため,経食道心エコーを施行したところ左心耳内に血栓を認め,抗凝固療法を開始した.慢性期冠動脈造影(第17病日)は造影上正常冠動脈と思われた.同時に血管内エコー(IVUS)を施行したが,梗塞責任部位に内膜肥厚,プラーク,石灰化などの動脈硬化性変化は認めなかった.<BR>本症例は非弁膜症性心房細動に冠動脈塞栓症による急性下壁梗塞を合併した1例である.IVUSは動脈硬化性病変の有無について大きな情報が得られ,本症例の診断にも有用であった.冠動脈塞栓症においてIVUSを施行した例は極めて少ないので報告する.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 33 (6), 518-522, 2001

    Japan Heart Foundation

被引用文献 (2)*注記

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