症例 肺結核症に対する胸郭形成術後に右室流出路狭窄を生じた1症例

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タイトル別名
  • A case of right ventriluar outflow stenosis after thoracoplasty for lung tuberculosis

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抄録

症例,71歳,男性.平成10年1月26日,胸部圧迫感を訴えて当院を受診.120/分の頻脈と心尖部から第2肋間胸骨左縁にかけて,第3肋間に最強点を有するLevineIV度の収縮期駆出性雑音を聴取.これは,吸気時に減弱,呼気時に増強した.心エコー図では左室径は小さく,大動脈弁の開放時の離開距離は正常で,弁の肥厚を示唆する所見も見られなかった.また,血漿中の脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP),心房性ナトリウムペプチド(ANP)が上昇していた.平成10年5月22日,ダブルマスター負荷後,V4~6,II,III,aVFで中等度のST低下を認めたため虚血性心疾患を疑い,滋賀医科大学第1内科へ精査の目的で入院した.<BR>入院後の検査では,カラードプラ法にて,肺動脈内にモザイク状のパターンを認め,右心系の疾患が疑われ,MRIにて右室流出路の狭窄を認めた.心臓カテーテル検査では,右室心尖部と流出路の間に31mmHgの圧較差を検出した.また,血漿ANP濃度が大心静脈と冠状静脈洞との間に大きなstep upを示し,当院外来で見られた血漿ANP濃度の上昇は右心負荷によるものと考えられた.<BR>この狭窄の原因として,心雑音の呼吸性変動の態度等から,胸郭形成術による心臓の偏位,および右室前壁の胸壁への癒着の影響が考えられた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 34 (6), 491-497, 2002

    Japan Heart Foundation

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