HEART's Original [症例] 血液透析中の血圧低下に対して,シベンゾリンが有効であった左室中間部閉塞性肥大型心筋症の1症例

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タイトル別名
  • A case of hypertrophic obstructive cardiomyopathy due to midventricular obstruction whose hypotensive attack during hemodialysis was prevented by the treatment of cibenzoline

抄録

症例は47歳,女性.lgA腎症による慢性腎不全のため,10年前より週3回の血液透析(HD)を施行されていた.1年前より透析中の血圧低下,および胸部圧迫感の訴えがあったため,しばしば透析中止を余儀なくされていた.ドプラ心エコー検査にて収縮期の左室中間部狭小化と同部位における圧較差を認めた.さらに心臓MRI,左室造影,ドブタミン負荷心内圧測定の所見より左室中間部閉塞(midventricuiar obstruction;MVO)を伴う肥大型心筋症と診断した.β遮断薬の内服を開始したが,HD中の血圧低下,胸部圧迫感および左室内圧較差の改善は認めなかった(左室内最大圧較差72mmHg).そこで,頻回に血中濃度測定を施行しながらシベンゾリン内服加療を試みた.透析日のみシベンゾリン100mg内服によりトラフ値は有効血中濃度(200~230ng/mL)に維持され, ドプラ心エコー上左室内最大圧較差は33mmHgまで減少し,HD中の血圧低下が改善し,胸部圧迫感も消失した.また,QT延長や低血糖など,シベンゾリン内服によると考えられる副作用は認めなかった.<br>肥大型心筋症例においてMVOがHD中の血圧低下の原因として考えられた.シベンゾリン内服は一般的に透析患者には禁忌とされているが,頻回の血中薬物濃度測定によりシベンゾリン内服治療導入に成功し,HD維持に著効したMVO型肥大型心筋症の1例を報省した

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 40 (4), 388-393, 2008

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680468712960
  • NII論文ID
    130004416260
  • DOI
    10.11281/shinzo1969.40.4_388
  • ISSN
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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