秋田県南西部本荘・由利地方における脳卒中の変遷と現状

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  • Cerebrovascular Accident (Stroke) in Honjo-Yuri District of Akita Prefecture, Japan —the Past and Present—
  • アキタケン ナンセイブ ホンジョウ ユリ チホウ ニ オケル ノウソッチュウ ノ ヘンセン ト ゲンジョウ
  • Cerebrovascular Accident (Stroke) in Honjo-Yuri District of Akita Prefecture, Japan —the Past and Present—

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抄録

平成10年1月から平成15年12月までの6年間に秋田県本荘市・由利郡で発症し当院で治療した脳卒中2,414例を対象として,発症状況,病型割合とその変遷,性別・年齢階層別割合などについて分析・検討した。前半3年間は年間約400例を超える症例数だったが,後半はそれに達せず,漸減の傾向が認められた。病型別割合では脳梗塞68%,脳出血22%,くも膜下出血10%であり,昭和40年代,50年代と時代を経るにしたがって脳出血の割合が特徴的に減少しており,脳卒中病型に時代的変遷が認められた。性別では男性55%,女性45%で,病型別にみると脳梗塞,脳出血はともに男性に多く,くも膜下出血では明らかに女性に好発していた。また,脳卒中各病型ともに女性が男性よりも高齢発症だった。年齢階層別では脳卒中各病型ともに70歳台に発症のピークがあり,70歳以上の高齢者が全体の64%を占め高齢化が顕著だった。各病型の年齢階層別割合をみると,30歳台以下ではくも膜下出血が最も多く,40歳台では脳出血と脳梗塞が相半ばし,50歳台以降はいずれも脳梗塞が最も頻度の高い疾患だった。脳出血の部位では被殻出血,視床出血の順に多く,両者が全体の70%を占めたが,昭和50年代と比較して被殻出血が激減し,視床出血,小脳出血および皮質下出血が増加しており,脳出血病巣にも明らかな時代的変遷が認められた。脳出血の発症年齢は全体として70歳台にピークがあるが,被殻出血と橋出血は60歳台以下と若く,一方視床出血,小脳出血および皮質下出血は過半数が70歳以上の高齢発症だった。当地域における脳卒中は過去において若年者の脳出血が特徴的に多発したが,最近ではこれが激減し脳梗塞が多発するなど,脳卒中発症に関して他との地域差があまりなくなり,全国の平均的な様相を呈しているものと考えられた。

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参考文献 (27)*注記

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