小児大腿骨骨幹部骨折の治療経験

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抄録

小児大腿骨骨幹部骨折は小児の全骨折の1.4~1.7%と言われており比較的まれな外傷である.治療法は保存的,外科的治療があるが,合併症の観点からみると定まった治療法がないのが現状である.今回我々は自験例を振り返り文献的考察を加え検討したので報告する.対象は4~16歳の7症例,女児2例・男児5例であり,平均観察期間は1.8年であった.保存療法は4歳と10歳の女児2症例,髄内釘は10歳~16歳の4症例,プレート固定は13歳の1症例であった.髄内釘を使用した症例では10歳を除き骨端線閉鎖しかけている患児であった.10歳の髄内釘症例に対してrigid interlocking nailを使用した.その理由は高度な肥満を認めるうえに広範性発達障害があり免荷は困難と考えたためである.プレート固定の症例では合併症なく治癒したが,抜釘時にはbone over growthによる抜釘困難と抜釘後のプレート接触面の皮質の菲薄化を認めた.保存療法を行った10歳女児については機能的合併症は認めないものの4ヶ月と長期の入院を必要とした.小児大腿骨骨幹部骨折の治療においては年齢とともに変化する骨頭への血流支配,自家矯正能力が大きく関与しておりこのことを確実に理解し治療を行っていかなければならない.

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