記憶障害例に対して残存する視覚記憶を利用したPQRST法の効果

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  • Effectiveness of PQRST approach on a patient with memory dysfunction

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抄録

欧米で広く推奨されている学習方法であるPQRST法は, Preview, Question, Read, Self-Recitation, Testからなり, 他の記憶ストラテジーに比べ有効であることが示されている。今回われわれは, 両側側頭葉前下部, 前頭葉眼窩面に広範な脳内出血を認め, 受傷後7ヵ月半を経過した健忘症患者にPQRST法を用いた記憶訓練を施行し, 良好な結果を得たので報告する。PQRST法は本来言語的手がかりを使用するが, 今回は, 症例に相対的に残存していた視覚性記憶もあわせて利用した。PQRST法は記憶障害患者に深い情報処理を促し, 文章の理解と保持を促進したことが示唆された。また, Baddeleyらによってその有効性が確認されている, 誤りなし学習法についても検討し, それが追認された。また, 学習時にのみ示していた軽度保続に対しても, 誤りなし学習が有効であることが示唆された。約2ヵ月の治療的介入の結果, 検査成績の向上とともに, 実際の生活場面においてもエピソード記憶が改善し, 症例は社会復帰を果たした。

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