胃全摘・Roux-Y吻合術後に内ヘルニアを来した1例

  • 石井 亘
    京都第二赤十字病院救命救急センター救急部
  • 飯塚 亮二
    京都第二赤十字病院救命救急センター救急部
  • 篠塚 健
    京都第二赤十字病院救命救急センター救急部
  • 檜垣 聡
    京都第二赤十字病院救命救急センター救急部
  • 柿原 直樹
    京都第二赤十字病院外科
  • 井川 理
    京都第二赤十字病院外科
  • 北村 誠
    京都第二赤十字病院救命救急センター救急部

書誌事項

タイトル別名
  • A case of internal hernia after total gastrectomy and roux-y anastomosis

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抄録

症例は65歳の男性。突然の腹痛を認め,軽快しないため当院救命救急センターに救急搬送された。意識清明,腹部全体に圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は軽度であった。既往歴として3年9か月前に胃癌穿孔に対して胃全摘術・R-Y再建を施行されていた。血液検査では,WBC 7,200/μl,CRP 0.05mg/dlと炎症反応の上昇は認めなかったが,血清アミラーゼ値の高度な上昇を認めた。腹部レントゲン検査で小腸の拡張を伴うニボー像を認め,腹部造影CT検査では,小腸の拡張と左下腹部中心に小腸壁の肥厚を認めたが,腸管壁の血流は保たれていた。イレウス管を挿入して入院の上,経過観察とした。5時間後腹痛が軽快しないため,再度腹部CT検査を施行したところ,小腸吻合部肛門側にイレウス管挿入時の造影剤の貯留があり,また小腸吻合部から十二指腸まで著明な拡張を認め,内ヘルニアによる絞扼性イレウスの疑いで開腹手術を施行した。開腹所見では,小腸輸入脚吻合部の腸間膜欠損孔に肛門側の小腸が陥入し内ヘルニアを起こしていた。腸管の壊死は認められず,腸管を還納し,ヘルニア門を閉鎖して手術を終了した。その後経過は良好であり,第10病日退院となった。胃癌全摘後の腸間膜欠損孔をヘルニア門とする内ヘルニアは比較的稀であるが,Roux-Y再建後イレウスを認める症例では,念頭に置く必要がある。

収録刊行物

参考文献 (3)*注記

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