健康資本蓄積とマクロ経済の収束

  • 細谷 圭
    日本学術振興会特別研究員/一橋大学大学院経済学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Health Capital Accumulation and Macroeconomic Convergence
  • ケンコウ シホン チクセキ ト マクロ ケイザイ ノ シュウソク

この論文をさがす

抄録

本稿では,健康資本の蓄積を考慮した内生的成長モデルに依拠して,マクロ経済の収束問題を理論的に分析する。モデルから導出された収束係数について数値シミュレーションを行うことにより,その収束特性に関して2つの理論的可能性が示唆される。はじめに,標準的なパラメータセットの下で,ここで提示する2部門成長モデルは一般的な内生的成長モデルの収束特性を再現することになる。すなわち,相対的にハイテンポな収束過程が実現する。一方で,第2部門としての健康資本生産部門において,追加的な健康資本生産に対して資本深化外部性の影響が相対的に軽少で,かつ公的医療支出をファイナンスする所得税率が現実的に妥当な水準にあるケースで,ゆっくりとした収束過程が現れる。そうした相対的に緩慢な収束過程は,経済成長とβ-収束性に関する標準的な実証分析の結果と整合的である。

収録刊行物

  • 医療と社会

    医療と社会 14 (3), 139-146, 2004

    公益財団法人 医療科学研究所

参考文献 (14)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ