急性心筋梗塞後左室自由壁破裂に対しPatch‐and‐Glue Repair術後遠隔期に左室仮性瘤を発症した1例

  • 鈴木 博之
    相澤病院心臓病大動脈センター心臓血管外科
  • 藤松 利浩
    相澤病院心臓病大動脈センター心臓血管外科
  • 大沢 肇
    相澤病院心臓病大動脈センター心臓血管外科
  • 高井 文恵
    相澤病院心臓病大動脈センター心臓血管外科
  • 橋本 昌紀
    相澤病院心臓病大動脈センター心臓血管外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Pseudoaneurysm of the Left Ventricle after Patch-and-Glue Repair of Postinfarction Left Ventricle Free Wall Rupture

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抄録

症例は74歳女性.平成16年に回旋枝(Seg. 13)の完全閉塞による急性心筋梗塞を発症し緊急PCIを施行し再還流に成功した.しかしその2日後にoozing type左室自由壁破裂(LVFWR)を発症し,人工心肺装置を使用し心停止下にLVFWR部位にGRF glueを塗布後にTachoCombを貼付して補強を行う,Patch-and-Glue Repair術を施行した.手術は無事に終了し退院後外来にて経過観察していたが,術後約2年が経過したころから左室補強部位が仮性瘤化して拡大傾向を呈し,さらにその瘤内に血栓形成も認めたため初回手術から4年経過して再手術を行った.菲薄化した仮性瘤壁を切開して血栓を除去し瘤入口部にFontan's stitchをかけて結紮・縫縮し,さらに瘤口を縫合閉鎖した.切開した左室壁もフエルト帯にて補強しながらmattless surtureおよびOver and Over法にて縫合閉鎖した.梗塞壊死した心筋は瘢痕化しており破綻することなく確実に縫合閉鎖できた.術後経過は順調であり軽快退院した.急性心筋梗塞後のLVFWR症例に対するPatch-and-Glue Repair術は,遠隔期に左室仮性瘤を形成する可能性があることを考慮しても,その再手術時には梗塞心筋が瘢痕化しており急性期に懸念される運針・縫合による心筋破綻の危険性が回避できるため,救命手段として有用な手術方法であると考えられた.

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参考文献 (3)*注記

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