液体とゼリー嚥下時の咽頭期嚥下動態の相違

DOI
  • 宮地 英彰
    九州大学大学院医学研究院臨床医学外科学講座耳鼻咽喉科分野
  • 梅崎 俊郎
    九州大学大学院医学研究院臨床医学外科学講座耳鼻咽喉科分野
  • 山口 優実
    九州大学大学院医学研究院臨床医学外科学講座耳鼻咽喉科分野
  • 安達 一雄
    九州大学大学院医学研究院臨床医学外科学講座耳鼻咽喉科分野
  • 澤津橋 基広
    九州大学大学院医学研究院臨床医学外科学講座耳鼻咽喉科分野
  • 清原 英之
    九州大学大学院医学研究院臨床医学外科学講座耳鼻咽喉科分野
  • 菊池 良和
    九州大学大学院医学研究院臨床医学外科学講座耳鼻咽喉科分野
  • 小宗 静男
    九州大学大学院医学研究院臨床医学外科学講座耳鼻咽喉科分野

書誌事項

タイトル別名
  • The difference between liquid and jelly in pharyngeal deglutition
  • - LEDTによる検討 -
  • A clinical study using LEDT

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抄録

ゼリー状の食塊は液体に比べて誤嚥しにくく、喀出しやすいために嚥下障害患者の経口摂取開始において頻用されている。その要因として液体と異なりゼリー状の食塊はその物性(硬さ、付着性、凝集性を持つ)のために咽頭への流入速度が遅いことが考えられる。しかし、現在までに嚥下造影検査においてその仮説を裏付ける目的であらかじめ物性の分かっている二つの嚥下物の咽頭期嚥下動態の違いを、嚥下惹起遅延を評価するのに有用と考えられているパラメーターを用いて比較した報告はない。そこで進が 1994 年に報告した laryngeal elevation delay time (LEDT) という咽頭期嚥下の遅れを評価するパラメーターを用いて、異なる物性を持つ二つの嚥下造影剤における咽頭期嚥下動態の違いを検討した。その結果、われわれが用いた LEDTは、1) 液体造影剤とゼリー状造影剤の二つの物性の違いをよく表し、2) 低粘性造影剤を用いることで咽頭期嚥下の遅れを評価する有効なパラメーターであることが確認され、3) ゼリー状の食物形態が咽頭期嚥下惹起遅延による誤嚥を来す症例の食事に有用であることを裏付けるパラメーターであると考えられた。

収録刊行物

  • 耳鼻と臨床

    耳鼻と臨床 56 (Suppl.2), S138-S144, 2010

    耳鼻と臨床会

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