RAに対する軟部組織へのアプローチ

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  • 徒手的圧刺激と中周波通電刺激の皮膚温及び自律神経活動に与える影響の比較検討

抄録

【はじめに】第37回本学術大会にて軟部組織の徒手的アプローチ、「痛覚系末梢受容器刺激法(PRS)」を報告した。PRSは、四肢の軟部組織における痛覚過敏領域に的確に物理的刺激を加える方法である。この内、PRS徒手法(PRS刺激)は、筋間隙や骨筋間隙より母指や手指の末端を使い加圧刺激を骨や組織横断面の中心部に垂直並びに直角方向に連続的に加える手法である。我々は、関節リウマチ(RA)の軟部組織に対するPRS刺激が関節炎症に与える影響として、刺激後の皮膚温並びに自律神経活動の経時的反応を検討した。更に、同対象に中周波通電刺激を施行し同反応の比較検討を試みたので報告する。【方法】対象は両膝関節に関節熱感と疼痛を伴うRA患者2例。症例1は、24歳女性、RA、stage3、class2、C反応性タンパク(CRP)3.04mg/dl、薬物はプレドニゾロン5mg/日、アザルフィジンEN4錠/日、リウマトレックス4カプセル/週を服用中。症例2は、61歳女性、RA、stage3、class2、CRP2.3mg/dl、薬物はアザルフィジンEN5002錠/日、ロキソニン60mg錠3錠/日を服用中。刺激方法は、PRS刺激については両下肢痛の覚過敏域にPRS刺激を実施した。中周波刺激は、CHUO製WYMOTON WY-5を用い膝直上に施行した。刺激強度は、心地よいよりやや強い程度とした。自律神経活動指標の測定は、20分以上安静臥位後と刺激20分後のCVR-R(CV),RR50をフクダ電子製dynaScopeより出力した心電図波形のRR間隔をタブレット上で計測して算出した。皮膚温の熱画像検査(熱画像)はNEC三栄製サーモトレーサTH3107を使用し,室温26±1℃,湿度60%以下の室内で被検者に膝関節を露出した状態で20分間安静臥位保持後撮影した。熱画像データは,座標温度を34℃以上(関節周囲を含む範囲),34.5℃以上(関節範囲のみ)に分類し,刺激前を100%と換算し算出処理をした。熱画像測定は、無変化状態を追跡撮影の終了とした。【結果】症例1の熱画像は、中周波10分後に軽度増加を認めたが34℃以上は0%増であった。PRS刺激は20分後最大で30.3%増加した。症例2は、中周波10分後に34℃以上が-45.2%減、20分後に-24.8%減、PRS刺激は、刺激後40分以上も皮膚温の増加傾向が持続し44.3%増を認めた。自律神経指標であるCVとRR50の変化は、症例1のCVは中周波9.73から7.22、PRS刺激6.64から7.64、RR50は中周波24から27、PRS刺激30から27となり著変は認めなかった。症例2ではPRS刺激のCV8.64から4.19と低下した。RR50は変化を認めなかった。【考察】ケース検討での報告ではあるが、PRS刺激は中周波刺激より、血管拡張或いは血液循環促進効果が、優れ持続性が高い傾向にあった。またそれは、心血管系の副交感神経活動とは今回の測定範囲では関係が薄い可能性が示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680541122432
  • NII論文ID
    130004576805
  • DOI
    10.14900/cjpt.2002.0.176.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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