心臓血管外科術後、運動耐容能における効果の違いによる検討

DOI
  • 櫻田 弘治
    埼玉医科大学附属病院リハビリテーション科
  • 浦川 宰
    埼玉医科大学附属病院リハビリテーション科
  • 小澤 亜紀子
    埼玉医科大学附属病院リハビリテーション科
  • 佐藤 真治
    埼玉医科大学附属病院リハビリテーション科
  • 澤 貴広
    埼玉医科大学附属病院リハビリテーション科
  • 牧田 茂
    埼玉医科大学附属病院リハビリテーション科
  • 間嶋 満
    埼玉医科大学附属病院リハビリテーション科
  • 許 俊鋭
    埼玉医科大学附属病院心臓血管外科

書誌事項

タイトル別名
  • 短期入院型運動療法より

抄録

【はじめに】現在、心臓外科術後症例に対する心臓リハビリテーションの有効性は明らかなものである。心臓外科術後早期の短期間での効果も、我々の研究結果において明らかにされている。しかし、この中には改善のみられなかった症例も存在することは事実である。今回、心臓外科術後早期の短期入院での運動療法によって、運動耐容能に改善のみられなかった症例について、その要因を検討した。【対象】2001年9月から2002年9月に当院心臓血管外科にて胸部正中切開による手術後、リハビリテーションを施行した患者のうち、早期離床を目的とした病棟内理学療法施行後、リハビリテーション科での短期入院による運動療法を施行した症例28例(男性:25名・女性:3名、平均年齢63.1±11歳)を対象とした。リハビリテーション科での運動療法は心肺運動負荷試験(CPX)の結果より嫌気性代謝閾値(AT)を決定し、その結果をもとに自転車こぎをおこなった。開始時期は、術後平均病日11.7±4.3、運動療法期間は10.9±4日であった。手術様式別は冠動脈バイパス術14例、弁置換・弁形成術9例、冠動脈バイパス+弁置換術5例であった。尚、術後運動器疾患を合併症した症例は除外した。【方法】運動療法実施後のPeak VOH2が改善した群(22例)、しなかった群(8例)の2群間において、術前左室駆出率(LVEF)・手術侵襲(手術時間)・術後臥床期間を対応なしのt検定を用いて検討した。【結果】改善した群・しなかった群でのPeak V(dot)O2は、それぞれ運動療法前:12.3±2.6・12.2/2.2ml/kg/min、運動療法後15.2±3.2・11.5±2.5 ml/kg/minであった。改善した群・しなかった群での、術前左室駆出率(LVEF)は各々、57.4±13.9・63.3±14%、術後臥床期間は2.5±0.7・3.0±0.6日で有意な差はみられなかった。しかし、手術時間は改善した群で263.5±83min、改善しなかった群で344.7±66.9minと有意差が認められた。【考察】心臓血管外科手術は血行動態や心筋虚血の改善、運動能力の向上を目的として行われるが、全症例が同様に改善するわけではない。今回、心臓外科術後約11病日より自転車エルゴメータによる、約10日間の運動療法施行症例中で、運動耐容能が改善しなかった群では、手術時間が長かったことによる、心筋自体の回復、および全身状態安定の遅延が運動耐容能が改善しなかった大きな要因であると考える。【結語】心臓外科術後早期、約11病日より開始した、約10日間の運動療法を施行しても、改善がみられなかった症例の原因としては、手術時間が長いことであった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205562907904
  • NII論文ID
    130004577092
  • DOI
    10.14900/cjpt.2002.0.434.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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