なぜ転倒するのか : 当院通所リハ利用者転倒群における一考察

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  • なぜ転倒するのか
  • 当院通所リハ利用者転倒群における一考察

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■はじめに 転倒予防という観点から、下肢機能を中心とした移動能力を測定・評価することは重要である。当院通所リハビリテーション(以下、通所リハ)では黒柳らが開発した健脚度を利用し移動能力および転倒回避能力の評価を行っている。初期測定値と6ヶ月後の測定値との比較をおこなった結果、転倒経験者は再転倒傾向にあった。今回、通所リハ利用者の転倒群において若干の知見を得たのでここに報告する。■対象と方法対象は当院通所リハ利用患者で歩行可能な者28名(男性5名、女性23名)、年齢68から91歳(平均80.1±6.2歳)であった。方法は黒柳らの健脚度テストを用いた。健脚度テストは10m全力歩行、最大1歩幅、40cm踏台昇降の3項目からなる評価法である。転倒群、非転倒群については黒柳らの方法に準じ、過去1年以内に2回以上の転倒者を転倒者、それ未満を非転倒者とした。■結果1 健脚度比較1)6ヶ月前と比較して全体では10m全力歩行および最大1歩幅とも有意差はみられなかった。2)10m全力歩行では17名向上、3名維持、8名低下、最大1歩幅では、14名向上、14名低下、40cm踏台昇降で前回7名、今回4名が昇降できた。3)転倒群と非転倒群では健脚度において有意差はみられなかった。2 転倒歴においては前回転倒群11名中7名が再転倒し  た。3 服用平均薬剤数においては全体7.1±3.4剤に対  して再転倒群では9.4±1.8剤であった。■考察 転倒の原因は多種多様で複雑であるが、それら要因の総和として発生する転倒は、それ自体が再度の転倒の最も強力な危険因子だと鈴木は述べている。今回の調査で前回調査時の転倒群は再転倒する傾向が強く示された。また、薬剤数についても強い転倒因子とする報告もあり、転倒群の服用薬剤数は非転倒群を有意に上回っていた。健脚度については前回調査で当院通所リハ利用者の健脚度は全体的に低下しており、転倒予防の観点から大腿四頭筋強化を中心に健脚度向上に努めてきた。過去測定値と比較して健脚度向上した者と著名な変化が認められない者が混在していた。転倒予防の観点から転倒の内的因子について調べてきたが今後は外的因子についても調査し転倒原因を追求したい。また身体パフォーマンスについてもプログラム再検討、また、通所リハ利用回数の見直し等を考慮し転倒予防に対して総合的に対応していきたい。

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