健常高齢女性における閉鎖運動連鎖下の発揮筋力

DOI

抄録

目的 :閉鎖運動連鎖系において発揮される筋力(CKC筋力)は立ちあがりや歩行といた基本動作能力などと関連があると考えられている。しかし、高齢者のCKC筋力についてはその水準や加齢の影響といった基礎的な知見が乏しい現状にある。本研究の目的は高齢者の脚伸展動作時のCKC筋力について、その水準および加齢との関連を明らかにすることである。<BR> 対象 :G県O町Q地区在住の60歳以上の高齢女性より保健師を通じて対象者を募り、31名の協力を得た。このうち自覚的な健康状態が良好で脳血管障害、心疾患、骨折、転倒などの病歴をもたない健常高齢女20名(70.1±6.1歳)を対象とした。<BR> 方法 :CKC筋力はStrengthergo240により測定した。測定は50回転/分の回転速度での5回の連続駆動により行い、脚伸展動作時の利き足側と非利き足側それぞれのピークトルク(Nm)、体重比ピークトルク(Nm/kg)、ピークトルク発揮角度(deg)を測定した。また、利き足側を100%とした場合の非利き足側のピークトルク(ピークトルク比)と体重比ピークトルク(体重比ピークトルク比)およびピークトルク発揮角度(ピークトルク発揮角度比)の割合も算出した。得られたデータから各項目の平均値±標準偏差を算出するとともに利き足側と非利き足側との差ならびに年齢との相関を分析した。差の検定にはWilcoxonの符号付順位検定を、相関分析にはSpearmanの順位相関係数を用いた。有意水準は5%未満とした。<BR> 結果 :ピークトルクは利き足が59.6±14.6、非利き足が56.0±15.0であり、利き足が有意に高い値を示した。両側とも年齢と有意な相関を認めた(利き足r=-0.449、非利き足r=-0.491)。ピークトルク体重比は利き足が1.2±0.3、非利き足が1.1±0.3であり利き足が有意に高い値を示した。両側とも年齢と有意な相関を認めた(利き足r=-0.574、非利き足r=-0.626)。ピークトルク発揮角度は利き足が265.4±8.8、非利き足は266.3±7.1であり有意な差を認めなかった。年齢との有意な相関も認めなかった。ピークトルク比は93.9±9.4、体重比ピークトルク比は93.9±9.4、ピークトルク発揮角度比(%)は100.4±2.9でありいずれも年齢と有意な相関を認めなかった。<BR> 考察 :健常女性高齢者におけるCKC筋力はピークトルク、ピークトルク体重比ともに加齢にともない減少すること、また、年齢によらず利き足側が非利き足側よりも高い水準にあることが示唆された。ピークトルク発揮角度は利き足側と非利き足側ともに同程度であり、加齢の影響も受けないことが示唆された。

収録刊行物

詳細情報

  • CRID
    1390282680540549760
  • NII論文ID
    130004577279
  • DOI
    10.14900/cjpt.2002.0.602.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ