中高齢者の膝痛に対するヘルスケアとしての理学療法の応用に関する研究2

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タイトル別名
  • 運動機能変化からみた介入効果

抄録

【はじめに】<BR> 我々は,中高齢者の慢性的な膝痛改善を目的として理学療法を応用したヘルスケアサービスを実施するためのシステム構築を試み,その効果について検討することを目的に研究事業を実施した。本研究は,運動機能に対する介入の影響から,介入プログラムの有効性について検討することを目的とした。<BR>【方法】<BR>1)対象:札幌市および近郊に在住の55歳から75歳の女性であり,膝関節に慢性的な疼痛または不安感を訴えるものとした。参加応募者の中から除外基準[(1)日本整形外科学会膝疾患治療成績判定基準(JOA-S)が70点以下,(2)急性的に疼痛が憎悪し3週間以内に病院を受診した症例,(3)疼痛や拘縮のために横座りまたは胡坐が不可能である,(4)膝痛以外に疾患を有する]に適応しない者を一次抽出した。さらに本研究固有の調査票への回答値から層化割り付けして介入群21名と対照群42名に分類した。対象者は,事前に倫理委員会の承認を得た研究計画書に基づいて十分な説明を受けた後,同意書に署名した。対象者は規定料金を支払って参加した。<BR>2)測定方法と分析:自覚的機能と疼痛程度をWOMAC Osteoarthritis Index(WOMAC指数)で評価した。運動機能は,長坐位体前屈,Timed Up and Go(TUG),歩行速度(通常,最大),開眼片足立ち,ファンクショナルリーチ(FR),筋力(下肢伸展,膝関節伸展,膝関節屈曲)を評価項目とした。統計学的手法として,WOMAC指数と運動機能との関係はスピアマンの順位相関で検討した。運動機能の群間比較には介入前後の測定時期要因に繰り返しのある二元配置分散分析を用いた。群内比較は対応のあるt検定またはWilcoxonの符号付順位検定で行なった。<BR>3)介入プログラム:介入は1回当り約90分,週に2回の頻度で12週間実施した。プログラムは,ストレッチング,固定自転車による有酸素運動,非荷重位での運動を中心としたマシンや自重による筋力強化運動,不安定パッドやボールによるスタビライゼーション,で構成した。<BR>【結果】<BR> 介入群は14%,対照群では61%が脱落し,WOMAC指数は両群共に改善していた。運動機能では,開眼片脚時間,FR,下肢伸展筋力に交互作用があり,介入群で改善している傾向にあった。群内比較で介入群のみに改善があったのは,最大歩行速度,開眼片足立ち時間,FR,下肢伸展筋力,膝伸展筋力,および膝屈曲/伸展筋力比であった。<BR>【考察とまとめ】<BR> 結果的に対照群での残存者は機能改善を自覚する集団に偏ってしまったものの,その対照群と比較しても介入群の運動機能改善は明らかであった。運動機能の変化からみて本介入プログラムの有効性が示唆された。<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2005 (0), C0167-C0167, 2006

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205565049984
  • NII論文ID
    130004579160
  • DOI
    10.14900/cjpt.2005.0.c0167.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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