外傷性多発肋骨骨折外固定術後の理学療法の経験  [in Japanese]

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Abstract

【はじめに】多発肋骨骨折では生理的な胸郭運動に阻害し、様々な肺合併症を生じる可能性がある。今回、交通外傷の症例を経験し、理学療法介入の有効性について考察を加え報告する。<BR>【症例】症例は、44歳男性で受傷まで喫煙していた。2005年6月1日に交通事故にて受傷し、現場近くの病院に救急搬送され、左第2-7前肋骨,第3-8後肋骨骨折、左血気胸、左肩鎖関節脱臼の診断を受け、当院救急部に紹介搬送された。当院にて気管内挿管、胸腔ドレーンを挿入し、鎮静下での人工呼吸管理となった。6月8日に抜管できたが、胸郭動揺の改善がみられなかったため、6月14日に左第3-4前肋骨、第4-6後肋骨に対して肋骨ピン、プレート固定、開胸ドレナージを施行した。6月16日より術後に理学療法を開始したが、同日夜にドレーンの閉塞および胸腔内血腫、左無気肺が認められ気管支鏡と開胸血腫除去、洗浄ドレナージの緊急手術となった。また、その翌日より理学療法再開となった。<BR>【経過と考察】6月16日の開始時の状態では、左肺野全体において透過性低下を認め、聴診でも呼吸音は減弱していた。また、疼痛が強く呼吸コントロールが不可能な状態であった。この時点での理学療法の介入については、疼痛が強く、胸腔内血腫の貯留がある点から、呼吸介助や排痰介助では効果が得られないと考え、疼痛緩和を優先する必要があると考えた。骨折部の保護のために左胸郭全体をタオルで保護する指導をして徒手的に固定した状態で呼吸介助を施行した。疼痛に効果的であったが、左肺の改善はみられなかった。その後の緊急手術後では、気管内吸引と胸腔内ドレナージによって、左肺野の透過性低下が残存していたが肺拡張については改善していた。意識レベルは呼びかけに反応ある状態で疼痛管理は良好であった。この時点では胸腔内血腫がドレナージされていたことから、骨折部を保護しながらの呼吸介助や体位を考慮した排痰介助をすすめ、左肺の再拡張を目標に施行した。また、循環動態など注意しながらベッドアップや端座位をすすめた。同時にウイーニングがすすみ、6月20日には抜管でき、6月22日にはベッドサイドで起立が可能となった。翌日には胸腔ドレーンがすべて抜去され、病棟内活動性が向上した。6月26日には酸素投与中止となり、画像上では左肺野の透過性が改善し、呼吸音も左右差が減少してきた。主治医より運動療法室での理学療法が許可され、胸郭可動域練習、自転車エルゴメータなど、退院に向けたプログラムを取り入れ、順調に理学療法がすすみ7月8日退院となった。<BR>【まとめ】多発肋骨骨折における呼吸理学療法では、疼痛管理や胸腔ドレナージの状態を注意し、アセスメント、手技の選択が重要である。特に胸腔内ドレナージの不良例では、呼吸介助の効果が得られない。また、臥位での管理や呼吸介助のみではなく,座位や立位、歩行などの離床を積極的に行うことも必要である。<BR>

Journal

  • Congress of the Japanese Physical Therapy Association

    Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2005(0), D0569-D0569, 2006

    JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION

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