理学療法サービスに対する患者の認識次元

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抄録

【はじめに】医療や理学療法(以下,PT)サービスの質を高めるためには,患者は医療やPTサービスの何を重視しているか知り,人的・物的資源やPT内容をマネジメントする必要がある.藤村(1998)は,医療サービスに対する認識次元には「医療技術・知識重視」「患者の気持ち重視」「治療成果重視」「患者参加」の4次元があることを報告している.しかしこの報告では,患者のほかに医師や看護師などの医療従事者も対象者に含まれているため,医療サービスに対する患者独自の認識次元は不明である.またPTサービスについては研究がすすんでいない.<BR>【目的】本研究の第一の目的は,PTサービスに対する患者の認識次元を明らかにすることとした.第二の目的は,患者の特徴によって重視するPTサービスの次元は異なるか明らかにすることとした.<BR>【方法】対象は,医療機関の外来でPTを受けている患者140名(男性52名,女性87名,不明1名)であり,年齢は64.3±12.5歳であった.調査は質問紙法を用いた.調査項目は患者属性に加え,藤村が用いた「医療サービスに対する認識次元」14項目をPTの文脈に置き換えて使用した.「回復の見通し」については,症状がよくなると思う程度を「その通りである」から「そうではない」の4件法にて回答を求めた.統計学的解析として,PTサービスに対する認識次元について因子分析を行った.得られた因子分析の結果から因子得点を算出し,因子得点と患者属性である「年齢」「通院年数」「回復の見通し」変数を用いた相関分析を行った.「性別」「通院頻度」の違いによる因子得点の差の分析にはt検定,分散分析を行った.<BR>【結果】因子分析の結果,PTサービスに対する患者の認識について2因子が抽出された.第一因子は「資源・手続き重視」,第二因子は「治療成果重視」と解釈した.2つの因子得点と他変数の相関分析では,「資源・手続き重視」得点と「年齢」の間に有意な正の相関が認められた.「治療成果重視」得点はどの変数とも有意な相関は認められなかった.また各因子得点において,「性別」「通院年数」による有意差は認められなかった.<BR>【考察】PTサービスに対する患者の認識次元として「資源・手続き重視」「治療成果重視」の2因子が示された.このことは,患者自身はPTサービスに対して藤村が示したような複雑な次元を識別しておらず,資源や手続きといった要素を包括的に捉えていることを示していると考えられた.「資源・手続き重視」への因子負荷量が高かった項目は,指示に忠実もしくは優秀な理学療法士や良い設備に関する項目であった.さらに「資源・手続き重視」得点と「年齢」の間に有意な正の相関が認められた.以上により,患者が重視するPTサービスの次元は「年齢」によって異なり,高齢であるほど障害の回復が見込める人的・物的資源や手続きを重視する傾向があると考えられた.<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2005(0), G0010-G0010, 2006

    公益社団法人 日本理学療法士協会

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