ラット関節包内の組織の加齢変化とそれに対する運動の影響  [in Japanese]

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【目的】加齢に伴い,関節には多くの形態的ならびに機能的な退行変性が生じる.そのうち関節包内の変化は,組織学的・生化学的に検討されてきた.一方,加齢に伴い,関節は硬くなるといわれているが,硬さの原因となる関節包内の組織の力学的特性は,これまで明らかになっていない.本研究では,関節包内の組織の加齢に伴う力学特性の変化を検討することを目的とし,動的粘弾性と静的な強度を分析した.さらに,関節包内の組織における力学特性の加齢変化に対する運動の影響についても検討した.<BR>【方法】本実験は,大学倫理委員会の承認を受けて行った.2年齢のWistar系雄性ラット13匹を使用した.うち9匹のラットに,週5回の運動を1ヶ月間行わせた.ラット用トレッドミルによる毎分11.8 mの走行運動,または自家作製した外乱刺激装置(傾斜角± 7&ordm;,振盪回旋数25 rpm)によるバランス運動のいずれかを1時間行わせた.また加齢変化を検討するために,10週齢のラット6匹を比較対照群として使用した.関節の動的粘弾性を,硬さの指標である動的スチフネスと,粘弾性効果の指標である動的荷重と変位の位相差により分析した.動的粘弾性測定装置を用いて,関節包では1および5 Hz,関節軟骨では10および30 Hzの周波数で測定した.静的な関節の強度を分析する破断試験では,関節を過伸展する軸方向の力を加えることで生じた荷重-変位曲線により,破断荷重と静的スチフネスを算出した.すべての測定値を中央値と四分位範囲で表し,クラスカル・ウォリス検定とボンフェローニ補正によるマン・ホイットニー検定で分析した.<BR>【結果】関節包の位相差,動的スチフネス,破断荷重,静的スチフネスのいずれも加齢により変化しておらず,運動の影響も認められなかった(<I>P</I> > 0.05).関節軟骨でも,運動の影響は認められなかったものの(<I>P</I> > 0.05),大腿骨内顆の動的スチフネスが加齢により増加し(<I>P</I> < 0.05),脛骨内顆の位相差が加齢により減少していた(<I>P</I> < 0.05).<BR>【考察】本研究結果により,加齢に伴う関節の硬さは関節包ではなく,その他の関節構造に起因している可能性が示された.また,関節軟骨は加齢により硬くなるとともに,粘弾性が低下することが明らかとなった.加齢変化に対する運動の影響について,多くの報告がある.これらのほとんどは筋の変化に焦点を当てており,筋に対する運動の有効性は立証されている.しかし,関節包内の組織の変化については明らかになっておらず,むしろ悪影響を及ぼすという報告もある.本研究での力学特性に対する影響は認められなかったが,運動の影響はその負荷量にも依存するため,今後詳細に検討していく必要がある.

Journal

  • Congress of the Japanese Physical Therapy Association

    Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2008(0), A3P2108-A3P2108, 2009

    JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION

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