腰椎椎間関節性疼痛に対する腿上げテストの有効性

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抄録

【目的】<BR>臨床において後屈時痛を呈する腰痛症例は頻繁に観察される.従来から後屈時痛群の要因として椎間関節性、脊椎分離症性、脊柱管狭窄症性、あるいは仙腸関節性など様々な報告がなされているが、その鑑別方法に関するエビデンスは十分ではない.昨今、青木らは後屈時痛群から椎間関節性疼痛を選択する診断方法として腿上げテストを提唱している.今回、椎間関節性疼痛に対する腿上げテストの有効性を検討するため、腰神経後枝内側枝ブロックを用いて、検討を加えたので報告する.<BR>【方法】<BR>対象は外来通院中の慢性腰痛症例で、体幹自動運動テストにて後屈時痛を主訴とする10例(男性5例、女性5例、平均年齢53.4±15.3歳)である.評価項目は脊柱の自動運動テスト、腰椎分節に対するストレステスト(スプリングテスト)、それと疼痛をVisual analog scale(以下VAS)で測定した.全症例に脚上げテストを行い、施行前・後での疼痛の変化を比較した.腿上げテストの判定は施行前後で疼痛の改善が60%以上認められた場合に陽性、60%以下の場合を陰性とした.その後、すべての症例に対し後枝内側枝ブロックを施行し、ブロック後の疼痛をVASで記録した.判定は80%以上の改善例を陽性、80%以下を陰性とした.症例には研究前に、この研究の趣旨を十分に説明し同意を得た.<BR>【結果】<BR>腿上げテストの結果は陽性7例、陰性3例であった.後枝内側枝ブロック後の結果、陽性例では全例とも腿上げテスト陽性であり、陰性例では全例とも腿上げテスト陰性であった.スプリングテストの結果は陽性・陰性例ともに安定性・不安定性の両結果が観察され、腿上げテストとの相関性は認められなかった.<BR>【考察】<BR>青木らによると腿上げテストの症状軽減機序は、「腰椎前弯を強制する腸腰筋の最大収縮後弛緩により股関節屈筋群の緊張が緩み腰椎椎間関節にかかっていた過度なストレスが軽減したため」ではないかと述べている.我々は後屈時痛群全例に対して後枝内側枝ブロックを施行した.ブロックが陽性であった症例はすべて腿上げテスト陽性であり、それが陰性の症例では腿上げテストが陰性であった.これは椎間関節の支配神経である腰神経後枝内側枝が遮断されたことにより疼痛が軽減または消失したものと考えられ、腿上げテストが椎間関節性疼痛の診断に有効であったことを示唆している.<BR>【まとめ】<BR>腿上げテストは後屈時痛群から椎間関節性疼痛群へのサブグループ分けする際の診断方法として有意義なテストであるということが証明された.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008(0), C3P1360-C3P1360, 2009

    公益社団法人 日本理学療法士協会

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