若年者における大腰筋トレーニングが筋断面積と腰椎前弯に及ぼす影響-MRIとX線画像での効果判定を用いて-  [in Japanese]

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【はじめに、目的】近年、姿勢保持に重要な役割を果たすとして、体幹深部筋のトレーニング効果について様々な研究が報告されており、大腰筋もその一つとして取り上げられている。大腰筋に関する研究報告について、中村(2007)らは、加齢に伴い大腰筋断面積の減少と腰椎前弯の減少が生じていたと報告しており、トレーニング効果については、森田(2001)、北脇(2002)らが、重心動揺や歩行など動作関連による効果判定をした報告がある。しかし、トレーニングにて、大腰筋断面積が変化するのか、腰椎前弯に変化を及ぼすかなど、画像診断を用いたトレーニング効果の報告はない。そこで今回、若年者における大腰筋トレーニング前後の筋断面積の変化をMRI画像より計測し、立位時の腰椎前弯角、腰仙角にどのような影響を及ぼすか調べたのでここに報告する。【方法】対象は、本研究の参加に同意が得られた、下肢、腰部に整形疾患の既往のない健常成人30 名(男性15 名、女性15 名、平均年齢25.2 歳± 1.6)とし、求心性収縮群10 名、等尺性収縮群10 名 、トレーニングなし群10 名の3 群に分類した。1.大腰筋トレーニング 求心性収縮群:端座位にて腰椎前弯を維持したままでの股関節屈曲運動を両側20 回、3 セット。等尺性収縮群:端座位で体幹を側方傾斜させたまま、脊柱を側屈させないで20 秒保持、両側3 セット。両群とも週3 回、3 ヵ月間実施した。2. 大腰筋断面積の計測 MRIはTOSHIBA社製のFLEXART0.5Tを使用した。L4/5 間で横断した左右の画像を用い、筋断面積の計測を行った。3. 腰椎前弯角、腰仙角の計測 X線の静止立位腰椎側面撮影像を用い、腰椎前弯角(L1 上縁とL5 上縁の成す角)腰仙角(水平線とS1 上縁の成す角)の2 角を計測した。MRI、X線画像ともに、トレーニング前とトレーニング開始から3 ヵ月後の2 回測定した。統計処理は、画像より得られた大腰筋断面積、腰椎前弯角、腰仙角のそれぞれのトレーニング前と3 ヵ月後の数値差を算出し、求心性収縮群、等尺性収縮群、トレーニングなし群の比較を、一元配置分散分析法および多重比較検定を用いて調べ、有意水準を5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は、対象者に被爆の可能性を十分に説明し、当院教育作業委員会及び倫理委員会の承認を受けて実施した。【結果】1)大腰筋断面積において、求心性収縮群、等尺性収縮群、トレーニングなし群の有意差を認めなかった。2)腰椎前弯角において、3 群の有意差を認めなかった。3)腰仙角において、3 群の有意差を認めなかった。【考察】今回実施した大腰筋トレーニングでは、若年者に対しては、大腰筋断面積、腰椎前弯に影響を与えないことが分かった。大腰筋断面積に影響を与えなかった要因として、今回のトレーニング法は、福井が考案した大腰筋の選択的トレーニング法を用いた。選択的に大腰筋のトレーニングを行うには、求心性収縮は大腿直筋の、等尺性収縮は内・外腹斜筋の代償動作が起こらないように行う必要があり、負荷量が筋肥大を与える程はなかったのではないかと推測される。また、臨床場面にて用いやすいよう、週3 回しか実施しなかったことも、今回の結果に影響した一つの要因として考えられる。腰椎前弯に影響を与えなかった要因として、Santaguidaは、屍体標本とMRIデータから大腰筋は姿勢変化にかかわらず腰椎前弯を変化させない機能を持つとしている。我々が行った先行研究においても、若年者における大腰筋断面積と腰椎前弯角、腰仙角について関連性を認めなかった。福井も姿勢保持筋としての、大腰筋の機能に注目しており、他の報告でも重心動揺などのバランス能力に対して影響があるとしている。今回の結果から、大腰筋は姿勢保持、バランス能力との関連があるが、姿勢変化との関連は少なく、腰椎前弯の減少については、大腰筋の影響より他の影響が大きいと推測された。今回、大腰筋のみの要因を研究したかったため、標準偏差を少なくし、若年者を対象に研究を行ったが、選択的大腰筋トレーニングにより、筋断面積、腰椎前弯に影響を与えなかった。今後、生理的腰椎前弯の減少がみられる症例に対する、有効なトレーニング法について検討したいと考える。

Journal

  • Congress of the Japanese Physical Therapy Association

    Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2012(0), 48100134-48100134, 2013

    JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION

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