ストレッチングは高齢ラットの骨格筋における細動脈の内皮依存性血管拡張能を改善する  [in Japanese]

Access this Article

Author(s)

    • M. Delp Judy
    • University of Florida, Department of Physiology and Functional Genomics
    • Ghosh Payal
    • University of Florida, Department of Physiology and Functional Genomics
    • Chen Bei
    • University of Florida, Department of Physiology and Functional Genomics
    • A. Rojas Maria
    • University of Florida, Department of Physiology and Functional Genomics
    • La Hae-Sun
    • University of Florida, Department of Physiology and Functional Genomics
    • Sapp Glenn
    • University of Florida, Department of Physiology and Functional Genomics
    • Patel Rhumit
    • University of Florida, Department of Physiology and Functional Genomics

Abstract

【はじめに、目的】 ストレッチング体操は骨格筋の柔軟性の改善を目的に,理学療法を必要とする患者に行われてきた.また,ストレッチング体操は廃用性筋萎縮の発生を予防することが報告されている.一方で,ラットの肺血管に対する伸張刺激は,内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)による一酸化窒素(NO)の産生を増大することが報告された.このことから,骨格筋に対する伸張刺激は,骨格筋における細動脈の内皮依存性血管拡張能を改善することが想定されるが,この仮説を検証した研究は今まで報告されていない. 内皮依存性血管拡張能は,加齢に伴い低下することが知られ,この内皮依存性血管拡張能の障害は,健常人や虚血性心疾患患者において心血管事故の発生を予測する独立した危険因子となっている.有酸素トレーニングは,大動脈,上腕動脈,大腿動脈および冠動脈を含めた全身の内皮依存性血管拡張能を改善することが報告されている.しかしながら,ストレッチングが有酸素トレーニングと同様に全身の内皮依存性血管拡張能を改善するか否かは未だ明確ではない.本研究は,ストレッチングが高齢ラットの骨格筋内細動脈の内皮依存性血管拡張能に与える影響を検討した.【方法】 月齢20 ヶ月の高齢雄性Fischer344 ラット(n=24)を用いて,通常飼育したラット8 匹(control群),麻酔のみ実施したラット8 匹(sham群),1 日30 分間,3 週間のストレッチングを実施したラット8 匹(stretch群)の3 群に無作為に分類した.Stretch群のラットは,左後肢をストレッチ肢,右後肢を対照肢とした.ラットの左足部の形状にあわせてスプリントを作成し,それを左足関節に装着することで筋を持続的に伸張した.3 週間のストレッチングが終了してから24 時間後に,stretch群のストレッチ肢と対照肢,およびcontrol群とsham群の左後肢からヒラメ筋を摘出した.実体顕微鏡下でヒラメ筋内の1A細動脈を摘出し,マイクロピペットを用いてカニュレーション処置を施し,生理食塩水を用いて血管内に70 mmHgの圧を負荷した.内皮依存性血管拡張能を評価するために,eNOS阻害薬であるNG-nitro-L-arginine methyl ester (L-NAME,10<sup>-5 </sup>M)の有無による2 条件のもとで,アセチルコリン(ACh,10 <sup>-9 </sup>-10<sup>-4 </sup>M)投与に対する血管径の変化を測定した.さらに,血管内皮に依存しない血管拡張能を評価するため,NOのドナーである 2-(<i>N,N</i>-diethylamino)-diazenolate-2-oxide (Dea-NONOate,10 <sup>-9 </sup>-10<sup>-4 </sup>M)の投与に対する血管径の変化を測定した.[血管拡張率 = (薬剤負荷後血管径—薬剤負荷前血管径)/(最大血管径—薬剤負荷前血管径)]の式により,血管拡張率を算出し,これを解析値とした.一元配置分散分析を用いて,群の要因の主効果の有無を検討した.主効果を認めた場合には,Bonferroni法による多重比較を行った.有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は,フロリダ大学動物実験倫理委員会の承認を得たうえで実施した.【結果】 Stretch群のストレッチ肢から得られた細動脈のACh投与に対する血管拡張率は,control群,sham群のそれと比較して有意に高値を示したが(それぞれ <i>P</i> < 0.01),L-NAMEが存在する条件では3 群間に有意差を認めなかった.Stretch群のストレッチ肢から得られた細動脈のdea-NONOate投与に対する血管拡張率は,control群,sham群のそれと比較して有意差を認めなかった. Stretch群の対照肢から得られた細動脈のACh投与に対する血管拡張率は,L-NAMEの有無に関わらず,3 群間で有意差を認めなかった.Stretch群の対照肢から得られた細動脈のdea-NONOate投与に対する血管拡張率は,control群,sham群のそれと比較して有意差を認めなかった.【考察】 ストレッチングは,高齢ラットの骨格筋における細動脈の内皮依存性血管拡張能を改善した.骨格筋の細動脈における内皮依存性血管拡張能の改善は,ストレッチングを受けた骨格筋の細動脈だけに生じる現象と考えられた.【理学療法学研究としての意義】 本研究により,ストレッチングが高齢ラットの内皮依存性血管拡張能を改善することが新たに実証された.本研究は,ストレッチング体操を循環器系疾患や生活習慣病を有する患者に応用するための基本的な研究となる.

Journal

  • Congress of the Japanese Physical Therapy Association

    Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2012(0), 48100191-48100191, 2013

    JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION

Codes

Page Top