高齢者向けの四股踏み運動が歩行能力および健康関連QOLに与える効果  [in Japanese]

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【はじめに、目的】現在、介護予防運動として紹介されているものの中に、相撲の代表的な動きである四股踏みがある。四股踏みでは下肢筋の筋力増強や立位姿勢の保持能力の改善が期待されるが、運動器や姿勢調節能力などが低下した高齢者では、支えがない四股踏みを安全に継続して行うことは難しい。そこで、我々は高齢者でも安全に継続して行えるゆっくりとした動きで、片手で身体を支えて行う四股踏みを開発した(以下、高齢者向けの四股踏み)。本研究では、高齢者向けの四股踏みを虚弱高齢者に6週間継続して実施させた際の歩行能力と健康関連QOLに与える効果を検証し、介護予防運動として有用かを明らかにした。【方法】対象は、通所介護を利用している虚弱高齢の女性9名(平均年齢82.6±4.6歳)であった。方法は、高齢者向けの四股踏み(左右各8回)を週3回以上、6週間継続して行わせた。測定は、運動6週前、運動直前、3週後および6週後の計4回とし、開眼片脚立ち保持(OLS)、Functional Reach Test(FRT)、関節可動域(ROM)、最大歩行速度(MWS)、重複歩距離、歩行率、Timed Up & Go(TUG)、SF-8を測定した。また、運動6週前、運動直前、6週後には徒手筋力検査(MMT)、運動直前と6週後には自覚的運動強度(RPE)と運動実施後の身体各部の負担状況の質問紙調査、6週後のみ運動実施後の感想の質問紙調査を実施した。統計処理として、OLS、FRT、ROM、MWS、重複歩距離、歩行率、TUG、SF-8では、6週前と運動直前の比較に対応のあるt検定、運動直前、3週後および6週後の比較に一元配置分散分析を用い、主効果が認められた際は多重比較(Tukey法)を用いた。MMT、RPE、運動実施後の身体各部の負担状況では、6週前、運動直前および6週後の比較にχ2検定(Yatesの補正)を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は、青森県立保健大学研究倫理審査委員会および実施場所の通所介護より承諾を得て実施した。また、対象者には研究の目的と内容について詳細な説明を行い、本人の意思を確認後に同意書への署名を得た。【結果】全ての測定項目における運動6週前と運動直前の比較では、有意な差は認めなかった。運動直前、3週後および6週後の比較では、OLSの右側(F=5.39,df=2,p=0.01)と左側(F=6.59,df=2,p=0.01)で主効果を認め、両側とも6週後(p<0.01)に有意な改善を認めた。FRTでは主効果を認め(F=7.20,df=2,p=0.00)、6週後(p<0.01)に有意な改善を認めた。MMTでは、大腿二頭筋の左側において6週後(χ2=5.63,df=1,p=0.02)に有意な改善を認めた。RPEでは、6週後(χ2=14.22,df=1,p=0.00)に有意な改善を認めた。MWSでは主効果を認め(F=10.89,df=2,p=0.00)、3週後(p<0.05)と6週後(p<0.01)に有意な改善を認めた。重複歩距離では主効果を認め(F=23.19,df=2,p=0.00)、3週後(p<0.01)と6週後(p<0.01)に有意な改善を認めた。SF-8では、全体的健康感(F=4.22,df=2,p=0.03)と身体的健康(F=4.99,df=2,p=0.02)で主効果を認め、いずれも6週後(p<0.05)に有意な改善を認めた。しかし、ROM、歩行率、TUG、運動実施後の身体各部の負担状況では有意な改善を認めなかった。6週後の運動実施後の感想では、「気分転換になった」が5名(55.6%)、「続けられそう」「かなり続けられそう」が6名(66.7%)と良好な回答が得られた。【考察】高齢者向けの四股踏みは約2.7METs相当であり、ゆっくりとした身体重心の移動と片脚立位保持の動作が含まれていた。前者では姿勢の保持に体幹筋、下肢筋に持続的収縮を求められた結果、立位姿勢保持能力(OLS、FRT)で改善を認めたと考えた。また、主に立位姿勢保持能力が改善したことにより重複歩距離が増加し、結果として歩行能力(MWS)で改善を認めたと考えた。運動実施後の感想では「気分転換になった」と良好な回答が得られたことから、歩行能力と社会生活の改善により、健康関連QOLの指標であるSF-8の全体的健康感と身体的健康を高めたものと考えた。さらに、運動実施後の感想から「続けられそう、かなり続けられそう」と良好な回答が得られたことから、虚弱高齢者でも無理なく継続できることが考えられた。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果、高齢者向けの四股踏みは虚弱高齢者の歩行能力と健康関連QOLで改善を認めたことから、介護予防運動として有用であるといえる。

Journal

  • Congress of the Japanese Physical Therapy Association

    Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2012(0), 48100678-48100678, 2013

    JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION

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