水稲3期作拡大に伴うメコンデルタ水文特性変化の評価

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  • Evaluation for effects of expansion of triple rice cropping on flood characteristics in the Mekong Delta

抄録

メコンデルタ上端部分はもともと1-3mの冠水状態となる洪水常襲地であるが,近年洪水を完全に遮断する堤防(フルダイク)で水田を囲い込み,洪水がピークを迎える期間中にも稲を作付ける水稲3期作が導入された.こうしたフルダイク水田の増加は周辺域の冠水位を高め,冠水期間を長期化させているのではないかと懸念されているが,そうした悪影響に対する検証のないままフルダイクによる水稲3期作は面積拡大を続けている.本研究ではフルダイクがメコンデルタの洪水特性に与えている影響の検証を目的に,フルダイクの水田がどのような水文条件の土地に拡大してきたか,さらに冠水範囲と冠水残留期間がフルダイクの建設前後でどの世に変化したかを,2000年から2011年のMODIS Terra画像からもとめたNDWI(正規化水指数)の時期的変化・年変化を用いて考察した.この結果,フルダイク水田の37%(1,121km2)はフルダイク建設以前毎年冠水が生じていた土地に立地しており,その分の遊水域が失われたこと,もともと非冠水だった土地の割合は10%に過ぎないことが明らかになった.また冠水範囲と冠水期間について,フルダイク建設前の2000年から2002年,建設後の2011年とを比較した結果,2011年はメコン川沿い右岸に立地するフルダイク水田の脇の部分の冠水残留期間が顕著に長いことが示された.2000年から2002年,2011年はいずれもメコン川の水位が高く,ほぼ同様の氾濫を生じている.つまりフルダイクの広がりは一部地域において冠水残留期間の長期化をもたらしていることを示している.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205712135680
  • NII論文ID
    130004628381
  • DOI
    10.11520/jshwr.25.0.174.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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