外科的治療により摂食可能となった頭部外傷後の両側混合性喉頭麻痺症例

  • 赤澤 仁司
    大阪大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室 東大阪市立総合病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 小川 真
    大阪大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室
  • 曺 弘規
    大阪大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室
  • 細川 清人
    大阪大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室
  • 中原 晋
    大阪大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室
  • 堀井 新
    市立吹田市民病院 耳鼻咽喉科 国立病院機構大阪医療センター 耳鼻咽喉科
  • 猪原 秀典
    大阪大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Bilateral Associated Laryngeal Paralysis after Head Trauma, with Swallowing Ability Improved by Surgical Treatment
  • ゲカテキ チリョウ ニ ヨリ セッショク カノウ ト ナッタ トウブ ガイショウ ゴ ノ リョウガワ コンゴウセイ コウトウ マヒ ショウレイ

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抄録

混合性喉頭麻痺とは,声帯麻痺に他の脳神経麻痺を合併したものであり,多彩な臨床症状を呈する。今回われわれは,頭部外傷の後,高度嚥下障害を発症した両側の混合性喉頭麻痺症例に対して手術的加療を行い,良好な結果を得たので報告する。症例は78歳男性。木から転落して頭部を打撲し,救急救命専門施設に搬送された。頭部CT検査において,くも膜下出血および右側頸静脈孔・舌下神経管周囲に骨折が認められた。全身状態および意識レベルの改善の後,失声・嚥下障害が判明した。嚥下障害の治療のため当科に紹介受診された。内視鏡検査下に,右声帯は傍正中位に,左声帯は中間位に完全固定していた。嚥下造影検査において,バリウム嚥下を試みるも嚥下反射は全く生じなかった。嚥下改善目的に両側輪状咽頭筋切断術・喉頭挙上術・気管喉頭分離術・喉頭閉鎖術を施行した。術後,肉の塊を除く多様な形態の食物が摂食可能となった。また後日プロテーゼを挿入して言語コミュニケーションが可能となった。以上より,複数の脳神経損傷に起因する咽喉頭の機能障害であっても,種々の機能外科的手術を適切に組み合わせることにより生活の質の改善が期待できると考えられた。

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参考文献 (5)*注記

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