小児膵腺房細胞癌の1 例

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タイトル別名
  • A Pediatric Case of Acinar Cell Carcinoma of the Pancreas
  • 症例報告 小児膵腺房細胞癌の1例
  • ショウレイ ホウコク ショウニスイセン ボウ サイボウガン ノ 1レイ

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抄録

膵腺房細胞癌は,腺房細胞への分化を示す悪性膵外分泌腫瘍と定義される.全膵癌に対し1~2%と稀な腫瘍であり,小児例の報告は極めて少ない.症例は12 歳女児.嘔吐・体重減少・全身倦怠感にて発症し,腹部造影CT で膵頭部に長径47 mm の腫瘍と,多発性の肝・肺転移が認められた.開腹腫瘍生検にて膵腺房細胞癌と診断した.成人の切除不能膵癌に対して第一選択とされるgemcitabine(GEM)単独療法を2 クール施行したが肺病変の進行を認めたため,tegafurgimestat-otastat potassium(TS-1)内服を併用した.原発巣・肺転移巣の病勢の進行は抑えられたが,GEM 投与後に発熱や気分不快といった副作用が強く出現したため,TS-1 単独療法に変更した.しかし肺病変の進行と呼吸状態の増悪を認め,第496 病日に死亡した.膵腺房細胞癌は,切除例では長期生存の報告もあるが,化学療法に対する感受性は低く,遠隔転移を有する症例の予後は不良である.

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