分子進化: 種間変異が生じるしくみを中立説から理解するための実習教材

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タイトル別名
  • Molecular Evolution: Teaching Material to Explain the Mechanism of Accumulating Molecular Variation among Species Based on the Neutral Theory in High School Biology
  • ブンシ シンカ : タネ カン ヘンイ ガ ショウジル シクミ オ チュウリツセツ カラ リカイ スル タメ ノ ジッシュウ キョウザイ

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抄録

DNAの塩基配列もしくはタンパク質のアミノ酸配列のデータに基づいた系統樹(以下, 分子系統樹)に関する内容は多くの国々の中等および高等教育における生物教育において理解すべき内容と考えられている。先行研究では, 日本の高校生は分子系統樹を描く実習を実施しても, 実習の内容を理解できない生徒がいることが報告されている。その一因として, 通常の授業では, DNAの塩基配列やタンパク質のアミノ酸配列に種間変異が生じるしくみを十分に理解できていないことが挙げられる。そこで本研究は, Westerling(2008)によって開発された分子進化に関する実習にいくつかの変更を加え, 日本の高校生に中立説に基づく分子系統樹作成方法の原理を理解させることを目的とした。高校生を対象に教材を用いた授業実践をし, 実習前後に質問紙調査を行うことでその教育効果を検討した。その結果, 実習後には中立説に基づく分子系統樹作成方法の原理に関する理解が促進されることが明らかとなった。また, この実習教材を, MEGA4を用いて分子系統樹を描く実習の前に導入することで, 分子系統樹を描く実習に伴う認知的困難を緩和させる可能性が示唆された。

収録刊行物

  • 理科教育学研究

    理科教育学研究 55 (2), 231-240, 2014

    一般社団法人 日本理科教育学会

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