術前低血糖管理にオクトレオチド皮下注射が有用であったインスリノーマの1例

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  • An Insulinoma in which Glycemic Fluctuation was Successfully Managed Preoperatively by Octreotide Subcutaneous Injections

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抄録

症例は78歳の女性で,意識消失のため近医に救急搬送され,低血糖発作と診断された.腹部造影CTと選択的動脈内カルシウム注入試験で,膵鉤状突起に径17 mmの単発性の腫瘤を認めインスリノーマと診断された.術前低血糖管理のためブドウ糖点滴を試みるも,認知症のため自己抜去を繰り返し管理困難であった.オクトレオチド皮下注射に変更したところ血糖値は100~250 mg/dlで推移し低血糖発作は認めなかった.術中造影超音波で腫瘍の局在を確認し,腫瘍核出術を行った.術後血中インスリン値は基準値内となった.インスリノーマによる低血糖症状に対してはブドウ糖点滴,経口摂取で対応がなされるが,認知症例では血糖管理困難な場合も存在する.オクトレオチド皮下注射は患者負担の軽減につながり,術前の低血糖管理に有用と考えられた.

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