閉鎖性海域沿岸沖積平野における完新世粘性土層の形成過程について

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タイトル別名
  • Formation process of the Holocene clay layer in a coastal alluvial plain of an enclosed sea: case study of the Okayama Plain
  • 閉鎖性海域沿岸沖積平野における完新世粘性土層の形成過程について : 岡山平野の例
  • ヘイサセイ カイイキ エンガン チュウセキ ヘイヤ ニ オケル カンシン セイ ネンセイドソウ ノ ケイセイ カテイ ニ ツイテ : オカヤマ ヘイヤ ノ レイ
  • —岡山平野の例—

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抄録

閉鎖性海域沿岸である岡山平野における最終氷期から完新世に至る堆積環境を推定するため,6~19 mの4本のボーリングコアを採取し,粘土に含まれる有機物の放射性炭素年代測定,火山ガラスの同定,間隙水の電気伝導度の測定を行った。その結果,岡山平野に広く分布する完新世粘性土層は1万年前にはすでに堆積したものであることが明らかとなった。この時期は海水がこの地域に浸入するほど海面が上昇していないため,岡山平野に淡水性の湖が存在し,そこで堆積していたことが示唆された。また完新世粘性土層の下位に分布する粘性土層は,硬さが異なる点や姶良火山灰の存在が確認されたことから,更新世粘性土層と確認され,最終氷期当時から岡山平野には淡水の湖沼が分布していたものと推定された。以上のように,瀬戸内海の奥部に位置する岡山平野では,最終氷期頃から縄文海進直前の時期まで広く淡水湖が存在していたという沿岸水文環境が復元された。この結果から,岡山平野堆積物の間隙水中に貯留された塩分は少なく,地下水の塩水化の潜在リスクは比較的低いことが示唆された。

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参考文献 (5)*注記

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