外来に通う糖尿病患者の満足度とその関連要因 公的統計の二次利用

  • 坪井 聡
    自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門
  • 上原 里程
    自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門
  • 小熊 妙子
    自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門
  • 古城 隆雄
    自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門
  • ENKH-OYUN Tsogzolbaatar
    Department of Public Health, Jichi Medical University
  • 小谷 和彦
    自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門
  • 青山 泰子
    自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門
  • 岡山 明
    公益財団法人結核予防会第一健康相談所
  • 橋本 修二
    藤田保健衛生大学医学部衛生学講座
  • 山縣 然太朗
    山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座
  • 大橋 靖雄
    東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻
  • 片野田 耕太
    国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計研究部
  • 中村 好一
    自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門
  • 祖父江 友孝
    大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学講座環境医学

書誌事項

タイトル別名
  • Satisfaction with hospital care among diabetic outpatients and its associated factors Secondary use of official statistics
  • ガイライ ニ カヨウ トウニョウビョウ カンジャ ノ マンゾクド ト ソノ カンレン ヨウイン : コウテキ トウケイ ノ ニジ リヨウ

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抄録

目的 糖尿病患者の病院への満足度に関する対策を政策的に推し進める科学的根拠を得るためには,一般化可能な知見が必要である。本研究の目的は,既存の公的統計を二次利用することで外来に通う糖尿病患者の病院への満足度の分布を示し,関連を持つ要因を詳細に検討することである。<br/>方法 患者調査,医療施設調査および受療行動調査(いずれも平成20年)を連結させたデータセットを作成した。患者調査と医療施設調査の連結には,医療施設調査整理番号を,加えて,受療行動調査との連結には,性と生年月日の情報を用いた。外来に通う糖尿病患者の病院への満足度の分布を検討し,また,様々な要因との関連の有無を検討した。関連の検討に用いた項目は,受診状況(初診か再来か),診察までの待ち時間,医師による診察時間,受療状況(他の医療機関の利用の有無等),糖尿病性の合併症,その他の合併症,生活保護法による支払い,禁煙外来,糖尿病内科(代謝内科)の標ぼう,診療時間(土曜日,日曜日,祝日の診療),生活習慣病に関連する健診の実施である。<br/>結果 糖尿病患者の62.3%は,病院への満足度において,やや満足,非常に満足と回答し,やや不満,非常に不満と回答した者は5.6%であった。受診状況,診察までの待ち時間,診察時間,受療状況,土曜日の診療の有無は,病院への満足度と統計学的に有意な関連を示した。一方,その他の項目は病院への満足度との間に明らかな関連を示さなかった。統計学的に有意な関連を示した要因を用いた多変量解析では,再診,短い待ち時間,他の医療機関にかかっていないこと,長い診察時間と高い満足度との間に統計学的に有意な関連が観察された。<br/>結論 複数の公的統計を連結させることによって,外来に通う糖尿病患者の病院への満足度の分布を示し,関連を持つ要因を明らかにすることができた。糖尿病患者の病院への満足度を高めるために,待ち時間の短縮と診察時間の確保が重要である。今後,多くの公衆衛生施策の検討に際して,公的統計の更なる活用が望まれる。

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