妊娠後期例を対象としたreal-time PCR法によるB群溶血性レンサ球菌の検出と莢膜型別判定

書誌事項

タイトル別名
  • DETECTION OF STREPTOCOCCUS AGALACTIAE (GBS) AND CAPSULAR TYPES IN PRENATAL VAGINAL SPECIMENS BY REAL
  • TIME PCR AS PART OF A NEONATAL GBS PREVENTION STRATEGY
  • 周産期感染症予防を目的として

抄録

目的: 新生児B群溶血性レンサ球菌 (Streptococcus agalactiae;GBS) 感染症は, 予後不良となりやすい重篤な疾患である. 現在, 出産前にGBS保菌検査が実施されているが, 培養検査では結果判明までに時間を要し, 検出感度も低い. 本研究では, 迅速かつ感度の高い保菌検査としてreal-time PCR法によるGBS検出を行った. また, 新生児GBS感染症に関連する莢膜型判定についても同法の応用を試み, 新生児GBS感染症予防検査としての有用性について検討した. 対象と方法: 妊娠後期 (36週-39週) の妊婦500例を対象とし, 腟分泌物中のGBSをmolecular beacon probeを用いたrealtime PCR法と培養法により検出した. GBS分離検体については, 分離菌の莢膜型をreal-time PCR法により判定した. 結果: PCR法によりGBSが検出された症例は101例 (20.2%), 培養法陽性例は65例 (13.0%), PCR陽性, 培養陰性例を39例 (7.8%) 認めた. PCR陰性, 培養陽性例は3例 (0.6%) であった. 莢膜型はIb型が19.7%と最も多く, 次いでIa型, V型 (いずれも18.2%), VI型 (16.7%), III型 (12.1%) が検出された. 生後3ヵ月未満の新生児期の髄膜炎起因菌として高頻度に検出されるIa, Ib, およびIII型は, 全体の50%を占めた. DNA抽出からPCR終了までの検査所要時間は, GBS検出, 莢膜型判定ともに約1.5時間であった. PCRおよび培養検査陽性104例に対して抗菌薬の予防投与を行った結果, 新生児GBS感染症は認めなかった. 結論: 迅速かつ高感度なreal-time PCR法を用いて妊娠後期の妊婦のGBS保菌と莢膜型検査を実施した. 同法は新生児GBS感染症の予防に有用な情報が提供できると考えられた.

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参考文献 (14)*注記

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