ミグリトールにより食後状況失神が増悪した1例

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  • A case of postprandial situational syncope detoriolated by miglitol

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抄録

症例は66歳, 男性. 2008年1月ごろより食後に悪心や顔面紅潮の前兆を伴う失神が出現したが放置されていた. 2010年12月ごろより食後15分から1時間に腹部膨満感の自覚とともに顔面紅潮, 悪心に引き続く失神を繰り返すようになり, 2011年1月上旬, 精査加療目的で当院入院となった. 失神の原因として起立性低血圧, 心原性, 脳血管性などは否定的であった. 24時間血圧心電図記録中, 食後約30分に顔面紅潮・全身発汗・嘔気とともに徐脈と血圧低下を認め, その後失神にいたったことが確認され, 失神は食後の状況失神であると診断した. 失神発作は常に食事の15分から1時間後に腹部膨満感を伴って発症していること, ミグリトールの開始後に発作が増加していること, ミグリトールの中止により発作が激減したことから, ミグリトールの副作用である腹部膨満が失神発作に関与した可能性が示唆された. αグルコシダーゼ阻害薬が失神の増悪因子として考えられた状況失神は稀でありここに報告する.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 46 (3), 372-376, 2014

    公益財団法人 日本心臓財団

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