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- 荒田 慎寿
- 横浜市立大学市民総合医療センター高度救命救急センター
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- 池田 寿昭
- 東京医科大学八王子医療センター特定集中治療部
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- 相馬 一亥
- 北里大学病院救命救急センター
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- 宮澤 志朗
- 北里大学病院救命救急センター
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- 池田 一美
- 東京医科大学八王子医療センター特定集中治療部
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- 志賀 英敏
- 帝京大学ちば総合医療センター救急集中治療センター
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- 織田 成人
- 千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学科
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- 篠崎 広一郎
- 千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学科
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- 平 泰彦
- 聖マリアンナ医科大学病院救命救急科
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- 小山 泰明
- 聖マリアンナ医科大学病院救命救急科
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- 矢口 有乃
- 東京女子医科大学救急医学科
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- 佐々木 純
- 昭和大学藤が丘病院救急医学科救命救急センター
書誌事項
- タイトル別名
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- The safety and tolerance of enteral nutrition in severe acute pancreatitis: a multicenter prospective case series study
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抄録
重症急性膵炎における早期経腸栄養は,感染症発症率や死亡率の低下をもたらすことから第一選択の栄養管理法として推奨されているが,本邦での施行率は低い。本研究は重症急性膵炎の栄養管理について多施設で現状を前向きに調査・解析し,その課題を明らかにすることを目的とした。2009年1月から2011年3月までに早期経腸栄養を行うプロトコールに則り,8施設から計43例(男性32例,女性11例)が本研究に組み入れられた。平均年齢は56.5±2.4歳で,発症から入院までは平均1.4±0.2日であった。入院時の予後因子は4.0±0.2,APACHE IIスコアは13.7±1.3であった。事前に設定された経腸栄養開始基準に準じて経腸栄養が施行された症例は30例(69.8%)で,48時間以内開始は4例(9.3%)であった。開始時期の中央値は5.5日であった。経腸栄養開始遅延の理由は膵酵素高値が最多であった。イレウス症状(22%)と循環不全(12%)を含む51%は早期経腸栄養開始が困難と考えられる症例であった。経腸栄養中止に至った症例は3例で(10%),理由は重症下痢,偽膜性腸炎,イレウス症状が1例ずつであった。中止例の入院期間はそれ以外の症例に比し延長していた(p=0.02)。48時間以内早期経腸栄養群(n=4)と7日以内に経腸栄養が開始されなかった群(n=22)の,入院7日目までの血清アミラーゼ値は絶対値(p>0.05),その経時推移(p=0.64)ともに群間に有意差を認めず,両群で概ね順調な低下傾向を認めた。C-reactive proteinについても群間差を認めなかった(p>0.05,p=0.97)。48時間以内早期経腸栄養群,7日以内に経腸栄養が開始された群,7日以内に経腸栄養が開始されなかった群の,手術移行の有無,感染性合併症の有無,ICU滞在日数,入院日数に群間差を認めなかった。重症急性膵炎症例の約半数で早期経腸栄養開始に慎重な判断が必要である可能性が示唆された。
収録刊行物
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- 日本救急医学会雑誌
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日本救急医学会雑誌 23 (6), 233-241, 2012
一般社団法人 日本救急医学会
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詳細情報
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- CRID
- 1390001204369476480
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- NII論文ID
- 130004840925
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- ISSN
- 18833772
- 0915924X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可