重症頭部外傷の経過中に外傷性脳動脈瘤破裂を合併し2度の脳低温療法を施行し社会復帰した1例

  • 恩田 秀賢
    日本医科大学付属病院高度救命救急センター
  • 布施 明
    日本医科大学付属病院高度救命救急センター
  • 五十嵐 豊
    日本医科大学付属病院高度救命救急センター
  • 鈴木 剛
    日本医科大学付属病院高度救命救急センター
  • 松本 学
    日本医科大学付属病院高度救命救急センター
  • 金 史英
    日本医科大学付属病院高度救命救急センター
  • 横田 裕行
    日本医科大学付属病院高度救命救急センター

書誌事項

タイトル別名
  • A case of severe head injury and complicated traumatic cerebral artery aneurysm rupture treated twice under therapeutic hypothermia and come back to normal life

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抄録

【はじめに】重症頭部外傷の合併症として外傷性脳動脈瘤が知られており,その致死率は高い。今回,両側急性硬膜下および硬膜外血腫に対する両側減圧開頭血腫除去術後に外傷性末梢性前大脳動脈瘤破裂を認めた症例に対して動脈瘤コイル塞栓術および2度の脳低体温療法により良好な結果を得た一例を経験したので報告する。【症例】33歳の女性。交通外傷で来院時GCS 6,左側瞳孔が散大し,初回CTにて,脳挫傷,硬膜外血腫および硬膜下血腫を認め,左側減圧開頭血腫除去術を行った。術直後に右側の瞳孔散大を認め,続いて右側減圧開頭術を施行し,34℃の脳低温療法を行った。その後,意識レベルは徐々に改善傾向に向かったが,第17病日にけいれん発作を生じ,CT上大脳鎌にそって急性硬膜下血腫を認めたため,3D-CTAを施行したところ,末梢性前大脳動脈瘤を認めた。脳腫脹が著明なため,開頭術困難と判断し,コイル塞栓術を選択した。術中より再度34℃の脳低温療法を導入し,頭蓋内圧(ICP)を厳重に管理した。第64病日,歩行および自力食事摂取も可能となり,両側頭蓋形成術施行し,社会復帰,独歩外来通院中である。【まとめ】急性脳腫脹を伴いICPコントロールに苦慮する中で発症した外傷性脳動脈瘤破裂は,治療に難渋することが多い。本症例は,開頭術が困難な中,コイル塞栓術を選択し脳低温療法を行い,良好な結果を得た。脳腫脹を伴う重症頭部外傷での外傷性脳動脈瘤破裂の症例においては,開頭術,血管内治療,神経集中治療などの集学的治療を考慮する必要がある。

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参考文献 (12)*注記

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