Necropsyで鉄過剰症と診断された自己免疫性肝炎の1例

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  • A case of autoimmune hepatitis diagnosed with iron overload disease in the necropsy

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抄録

症例は65歳,女性.平成11年に他院で自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis:AIH)と診断された.平成14年より当院へ転院となり,肝硬変に伴う胸腹水貯留のため入退院を繰りかえしていた.平成21年1月,胸水の増加による呼吸困難のため再入院となった.治療に対し増悪と寛解を繰り返し,同年5月13日,門脈圧亢進症の増悪による,胸水,腹水の増加に伴う呼吸不全により死亡した.Necropsy所見ではCH(F1/A1)相当である他に,小葉全体に褐色色素の肝細胞内への沈着が目立ち,褐色色素はKupffer cellにも貪食されており,hemosiderinの色素沈着と考えられた.褐色色素がBerlinblue染色陽性であったことより,本症例は鉄過剰症と診断された.網内系のみならず肝実質細胞内への鉄沈着が認められておりヘモクロマトーシスと考えられた.遺伝子検査は行っていないが,家族歴を認めず,皮膚色素沈着,糖尿病,関節痛なども欠くため,肝疾患に伴う二次性のヘモクロマトーシスと考えられた.肝障害の進行に鉄過剰症の関与が示唆された.

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