ドコサヘキサエン酸による脳機能改善作用と神経疾患への応用

書誌事項

タイトル別名
  • Improvement Effect of Docosahexaenoic Acid on Neurological Function and Its Application to Neurological Disorders
  • ドコサヘキサエンサン ニ ヨル ノウ キノウ カイゼン サヨウ ト シンケイ シッカン エ ノ オウヨウ

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抄録

ドコサヘキサエン酸 (DHA, 22 : 6n-3) は神経細胞膜リン脂質の構築成分であるn-3系必須不飽和脂肪酸であり, 正常な脳の発達や視力を維持するのに極めて重要である。脳内のDHAが欠乏すると, 神経伝達系, 膜結合型酵素やイオンチャネル等の活性, 遺伝子発現, およびシナプスの可塑性, 等に著明に影響を及ぼし, そのためにDHA欠乏は, 加齢に伴う脳機能異常, アルツハイマー病, うつ病, ならびにペルオキシソーム病などを誘発する。また, DHAの摂取不足は認知・学習機能を低下させるが, DHA摂取によりこの機能は回復するようである。疫学的研究によると, 魚の消費が少ないとアルッハイマー病の罹患率が高いことから, 魚油, とくにその主成分であるDHAによる神経保護作用が推察される。脳機能障害に作用するDHAの分子メカニズムは不明であるが, DHAを摂取すると, 動物の学習機能障害が改善し, またアルツハイマー病モデルラットやマウスでの学習機能障害が予防, さらには改善される。本論文では, 食餌性DHAによる記憶・学習機能向上効果, さらには臨床応用として脳機能障害の代表的疾患であるアルツハイマー病やうつ病との関連性について紹介する。

収録刊行物

  • Oleoscience

    Oleoscience 6 (2), 67-76, 2006

    公益社団法人 日本油化学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (38)*注記

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