流出路中隔欠損を伴う円錐動脈幹異常に対する経皮的肺動脈弁バルーン拡大術

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  • Use of Percutaneous Balloon Pulmonary Valvuloplasty as a Palliative Procedure for Conotruncal Anomalies with Subarterial Ventricular Septal Defect

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抄録

背景:円錐動脈幹異常では新生児期や乳児期早期に重度のチアノーゼを呈し,治療介入を要することがある.<br> 目的:流出路心室中隔欠損を伴い肺動脈弁狭窄が主体の本疾患群における,初回姑息治療としての経皮的肺動脈弁バルーン拡大術(BVP)の有効性と予後を検討すること.<br> 対象:2002年8月~2012年12月に当院にて新生児期・乳児期早期にBVPを行った9例〔男:女= 8:1,内訳:Fallot四徴症(TOF) 3,両大血管右室起始(DORV) 4,修正大血管転位(ccTGA) 2〕.<br> 方法:心エコーによる肺動脈弁輪径から,BVP時のバルーン径/肺動脈弁輪径比(B/A ratio)を算出.BVP前後のSpO2,右室流出路の最大血流速度(Vp),最大圧較差(PG)の変化と合併症の有無,さらに,最終手術までの経過を検討した.<br> 結果:B/A ratioは1.08±0.15であった.BVP後,SpO2は75 ±6%から87±7%に上昇 した(p < 0.001).Vp,PGに有意な変化は認めず,肺動脈弁逆流は少量以下にとどまった.気管軟化症の1例を除き,全例酸素投与を中止し退院できた.1例で高肺血流に対し,肺動脈絞扼術を要した.死亡例はなく,全例最終手術に到達できた.<br> 結語:初回姑息治療としてのBVPは低侵襲であり,バルーン径を過大としないことで,適切な肺血流増加が得られ,最終手術への有効な橋渡しとなる.

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