下垂体前葉内に存在するS100βタンパク陽性細胞のサブタイプの単離とその機能解析

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  • Isolation and characterization of S100β protein-positive cell subtypes in the rat anterior pituitary gland

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抄録

下垂体前葉はホルモンを産生し,成長・生殖・代謝・行動などを含めた生体維持に関わる重要な内分泌器官である。前葉組織は5種類のホルモン産生細胞とホルモンを産生しないS100βタンパクをマーカーとするS100βタンパク陽性細胞(S100β細胞),毛細血管を構成する内皮細胞および周皮細胞で構成される。この中でS100β細胞は,突起状の細胞質を伸ばして互いに接着し偽濾胞を形成するなどの形態的特徴から濾胞星状細胞とも呼ばれる。機能的には組織幹細胞,樹状細胞,支持細胞,アストロサイト様の機能などが想定されているものの,不均一性(heterogeneity)を示し多様性が高いため機能はおろか発生起源など不明な点が多い。そのためS100β細胞の機能を明らかにするには,サブタイプごとに細胞を分離し解析していくことが必要となる。本総説では樹状細胞様のS100β細胞を単離する我々の新たな方法と,単離した細胞の機能解析についてこれまで明らかにした点を述べる。

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