日本の中部地方の対照的に異る化学的性質を持つ白亜紀後期ー古第三紀花崗岩類の成因

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  • Genesis of Late Cretaceous-Paleogene Granitoids with Contrasting Chemical Trends in the Chubu District, Central Japan

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抄録

白亜紀後期-古第三紀の流紋岩類(11試料)と花崗岩類(白川29,土岐7,苗木9,領家10,合計55試料)について,XRFとICP-MS法により11主成分,32微量成分について分析した.白川地域の花崗岩類は飛騨変成帯に貫入し,Iタイプ磁鉄鉱系に属する花崗岩ー花崗閃緑岩からなり,鳩ケ谷岩体北部では苦鉄質アンクラーヴが優白質花崗岩に混在する.白川花崗岩類はハーカー図上で高ナトリウム組(モンゾ閃緑岩ー花崗閃緑岩)と低ナトリウム組(花崗岩)とに分けられる.前者は同様な化学的特徴を持つ,現在の飛騨帯に見られるような苦鉄質火成岩起源の変成岩類や花崗岩類に由来するものと考えられる.一方,花崗岩はハプロ花崗岩と呼べる珪長質度を持ち,そのRb/Sr比は分別残液に見られる高い値を示さず,これは中性火成岩の部分溶融に由来するマグマの初期溶融相と判断される.共にY,HREEに乏しく,源物質に柘榴石などの存在が推察される. 山陽ー領家帯の白亜紀後期-古第三紀の花崗岩類は美濃帯とその南方延長部の領家変成岩類に貫入するIタイプチタン鉄鉱系であり,山陽帯の土岐・苗木花崗岩では浅部相南部の領家花崗岩ではやや深部相が産出している.これらはパーアルミナスかつチタン鉄鉱系である点で,起源物質としてAl,Cに富む堆積岩類との関連,更に角閃石含有相には火成岩起源が想定される.土岐・苗木花崗岩は親石元素に富むが,百木花崗岩では特にRb,Y,Th, UおよびRb/Srが高い.そのREEパターンはHREE に富むフラット型で著しい負のEu異常を示しこれが分化したIタイプマグマから固結したことを暗示する.

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